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米朝核戦争 死者は東京180万人、ソウル203万人の地獄絵図

 11月29日未明、北朝鮮が首都平壌近郊の平城付近から大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星15』1発を発射した。これはガスが充満した部屋でマッチを擦るような行為だ。12月は在韓米軍家族がクリスマス休暇で韓国を離れる時期。米国は“最も戦争をやりやすいシーズン”に突入する。
 「12月4日から8日にかけて、史上最大規模の米韓合同演習『ビジラント・エース18』が行われています。北朝鮮は毎回演習に強く反発しますが、来年2月の平昌冬季五輪開催の機に乗じて一層の挑発行動に出る可能性が高い。というのも、米国との交渉では平和条約や不可侵条約といった“体制保証の約束”を得るよりも、先に米国中枢部を直撃できる核弾頭搭載のICBMを完成させた方が、米国との交渉で優位になると考えているからです」(軍事アナリスト)

 しかし、そのためには(1)7度目の核実験、(2)核の小型化と大気圏突入時の弾頭の姿勢制御や、その際に空気が圧縮されて生じる約7000度の高熱に耐え得る技術の確立、(3)潜水艦発射ミサイル(SLBM)による第2撃能力の保有、これら3つのハードルを突破しなければならない。
 「12月30日の金正恩委員長の軍最高司令官就任記念日や、来年には建国70年の記念行事がありますから、それまでに『国家核武力の完成』を宣言するつもりでしょう。米国中枢を狙うためには、軍事パレードで登場した3段式の『火星13』の向上や7回目の核実験が必要。地下実験では弾道ミサイルに載るほど小型化したと米国に示せないので、核を搭載して発射し、海上で爆発させるかもしれません」(国際ジャーナリスト)

 経済制裁によって北朝鮮の核・ミサイル開発が止められないことは『火星15』の発射ではっきりした。開発費用は「年200億円強」と見積もられているが、これは日本が購入予定のF35Aステルス戦闘機(1機約146億円)の1.4機分でしかなく、北朝鮮のGDPの0.6%程度にすぎない。兵卒を飢えさせても平気な体制下では、経済制裁などヌカにくぎだ。

 経済的圧力に効果がなければ、軍事的圧力に力点を移すしかない。ホワイトハウス内では対北強硬派が勢いを増しているが、そこへダメを押す人事情報がもたらされた。トランプ政権の中枢、元海兵隊大将のマティス国防長官とケリー大統領補佐官、現役陸軍中将のマクマスター安全保障担当補佐官とティラーソン国務長官のうち、穏健派として知られるティラーソン氏が更迭されると米紙ニューヨーク・タイムズ電子版が11月30日に伝え、後任には現在CIA(中央情報局)長官を務めるポンペオ氏が起用されるという内容だ。
 「CIAは米海軍の『SEALs』に匹敵する特殊部隊『SAD』(特別活動部)を有しています。'11年にビンラディンを殺害したのは両者の合同作戦によってです。ポンペオ氏は諜報部員が集めた北朝鮮の秘密情報を把握しているはずで、彼を登用することによって『すぐにでも斬首作戦を実行するぞ』と金正恩委員長を威嚇する意味合いもあるでしょう」(在米日本人ジャーナリスト)

 米韓合同演習『ビジラント・エース18』は、訓練から直ちに実戦に切り替えることが可能だ。他方、中国も11月下旬、中朝国境を守備する北部戦区(旧瀋陽軍区)で大規模な軍事演習を行った。さらに零下17度の極寒状況にある内モンゴル自治区でも“冬の軍事作戦”を想定した訓練を行い、また遼寧省丹東と北朝鮮の新義州を結ぶ鉄橋を“工事”のため一時閉鎖する措置を講じるなど、軍事・経済両面で圧力をかけている。
 「北朝鮮の地下の核ミサイル基地をたたくには、赤外線センサーで場所を特定するのですが、それは地表の温度が下がる真冬が最も容易とされています。もし米韓軍が北朝鮮を攻撃すれば、滅亡が迫った北朝鮮は自暴自棄となり、急いで残った核ミサイルを韓国や日本に向けて発射する公算が高いでしょう」(前出・軍事アナリスト)

 10月初め、米ジョンズ・ホプキンス大の米韓研究所が運営するサイト『38ノース』が出した米朝軍事衝突時の被害想定は、まさに地獄絵図だ。
 「通常の核ミサイルがソウルや東京に落ちた場合、それぞれの死者は『ソウルで最大約116万人、東京で最大約95万人』と算出され、北朝鮮が9月に実験した水爆の場合は、『ソウルで最大約203万人、東京で最大約180万人』に達するという恐ろしい内容でした。日韓をターゲットにするノドン(準中距離弾道ミサイル=MRBM)はすでに実戦配備済みです」(同)

 核による均衡、つまり相互確証破壊は、「先制核攻撃すれば自らも悲惨な目に遭う」と、米ソ冷戦時代の首脳のように冷静に判断する常識を持った相手にこそ成立するもの。正恩委員長に当てはまるとは思えない。
 「北朝鮮は'16年頃から米国や韓国に対する先制核攻撃を公言してきましたし、日本へは今年9月13日、『列島の4つの島を核爆弾で海中に沈める』と威嚇しています。北朝鮮は事実上の宣戦布告をしているわけで、先制核攻撃されても文句を言えません」(前出・国際ジャーナリスト)

 日韓の被害を最小化、もしくはゼロにすることを考えるならば、米軍が「戦術核」を用いた先制攻撃を仕掛け、北朝鮮の核関連施設を破壊する以外に方法はない。東アジアはオリンピックどころではないのだ。

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