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『アリアドネの弾丸』法医学者を演じる小西真奈美の華と謎

 フジテレビ系ドラマ『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』が7月12日から放送を開始した。海堂尊の小説を原作とする「チーム・バチスタ」シリーズのドラマ第3作である。ドラマ・オリジナルの法医学者・笹井スミレを演じる小西真奈美に華と謎があった。

 ドラマの背景は死因不明社会である。日本は先進国の中で突出して死体の解剖率が低い。いい加減な死亡診断によって殺人事件や児童虐待、医療過誤が見逃されてしまう。この状況の改善のために白鳥圭輔(仲村トオル)は死体を撮影・解析するAi(死亡時画像診断Autopsy Imaging)導入を推進するが、それを快く思わない警察や法医学者との暗闘が繰り広げられる。
 奇しくも今期は日本テレビ系で解剖によって死の真相を暴く法医学者を主人公とした『ブルドクター』が放送されている。共に闇に葬られようとしている真実を明らかにすることを目指しながら、ひたすら解剖を行う『ブルドクター』に対し、Ai推進の『アリアドネの弾丸』は法医学者を既得権益の擁護者と描く。
 
 『アリアドネの弾丸』では法医学者が事件を解決するドラマ『法医学教室のアリアドネ』が人気という設定である。これは『法医学教室の事件ファイル』のパロディで、『法医学教室のアリアドネ』ファンの藤原真琴を演じる名取裕子は『法医学教室の事件ファイル』の主演女優であるという楽屋落ちになっている。しかし、楽屋落ちが分からない視聴者は『ブルドクター』を連想したくなる。
 Ai導入をめぐる利害関係者のせめぎ合いとAiセンターで発生した殺人事件の謎解きがドラマの主題になるが、初回「心不全トリックの謎」では貧困ビジネスによる貧困者の搾取という社会的テーマも盛り込んだ。社会派ドラマとして名高い『相棒』は派遣切りや偽装請負、名義貸しなどを描いたSeason9の「ボーダーライン」が「反貧困ネットワーク」の「貧困ジャーナリズム大賞2011」を受賞している。フィクションであるドラマにも真実を伝えるジャーナリズムの力があり、それは『アリアドネの弾丸』にも期待できる。

 原作も人気の「バチスタ」シリーズであるが、ドラマでは原作とは異なるストーリーも見所である。『アリアドネの弾丸』では法医学者・笹井スミレの存在が原作以上にミステリー要素を深めている。スミレは男性中心のドラマの中で華があるが、田口公平(伊藤淳史)に心を開いたようでいて、Aiには抵抗し、警察側とも関係が深いという謎めいた存在である。
 バラエティ番組『ココリコミラクルタイプ』のコントの印象が強い小西であるが、女優としても存在感を示している。女優として認知度を高めた『ちゅらさん』や、連続ドラマ初主演作となった『きらきら研修医』で女医を演じており、『アリアドネの弾丸』の女医姿も様になっている。人気ドラマの劇場版『相棒 -劇場版II-』では悲しみを抱えた陰のある女性を演じた。ゲスト出演で『相棒』の世界観に溶け込んだように、『アリアドネの弾丸』でも「バチスタ」の世界に溶け込んだ小西の演技に注目したい。

(林田力)

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