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キャンプイン直前情報『楽天』編 「内部補強」の余地を残した新星野采配

 創設7年目の今季、東北楽天ゴールデンイーグルスを優勝候補に挙げる解説者も少なくないのではないだろうか。星野仙一・新監督(64)は強化ポイントに『センターライン』を挙げ、松井稼頭央(35)、岩村明憲(31)の獲得に成功した。両選手の実績は十分すぎるほどである。しかし、近年の成績を理由に、松井の日本復帰を不安視する声も聞かれたが、本拠地・クリネックススタジアム宮城の『地の利』によって、完全解消されるだろう。

 松井が高い成績を残したのは、ロッキーズに在籍した2年間(06-07年)。06年は打率3割4分5厘で、07年は打率、出塁率の数値こそダウンしたが、四球「34」を選び、二塁打「24」を放ち、ダイヤモンドを縦横無尽に駆け巡っていた。ロッキーズの本拠地『クアーズ・フィールド』は高地にあるため、「打球が飛ぶ」。しかし、松井を活躍させた要因は「球場の広さ」にあった。同球場は左翼106メートル、右翼107メートル。中堅127メートルと広域だ。気圧の関係で打球の飛距離も伸びる。そのため、外野手は他球場のときよりも「やや後方」に守る傾向もある。松井は内野手の頭を越える“コンパクト・スイング”で打撃成績を高めたのである。
 両翼101.5メートル、中堅122メートルと、もっとも外野フィールドが広いクリネックススタジアム宮城は、松井に有利な球場であり、打球が外野手の間を抜ければ、走塁スピードも存分に発揮できるはずだ。

 某主力選手の言葉を借りれば、「最大の補強は岩隈(久志)の残留」とのこと。昨季のように田中将大(22)の登録抹消なんてアクシデントがなければ、少なく見積もってもこの2人だけで「25勝」は稼げる。永井怜(26)、ラズナー(29)、新人の塩見貴洋(22=八戸大)、井坂亮平(26)などがローテーションを争うだろう。また、ここまで伸び悩んでいいた長谷部康平(25)、松崎伸吾(27)、2年目の戸村健次(23)を星野監督がどうレベルアップさせるかも見物である。
 現時点で、大型クローザーは補強されていない。そこが今までの星野野球とは違うところだ。中日指揮官時代にまで逆上っても、星野監督が優勝を遂げるとき、必ずと言っていいほど、絶対的なストッパーがいた。メジャーでのストッパー経験も持つ金炳賢(32)を獲得するとしても(1月22日時点)、約2年、独立リーグ等に甘んじてきたため、一抹の不安は残る。外部補強しないとすれば、内部昇格しかない。おそらく、テストされるのは、2人。ストッパーの潜在能力を持っているのは、ドラフト2位指名の左腕・美馬学(24=東京ガス)と、2年目の高堀和也(23)。美馬は昨年の都市対抗予選4試合でリリーフ登板している。真っ直ぐは中央大学時代から急速的に速くなった。元々は変化球投手だったので、球種、コントロールには不安はない。高堀は球速こそ140キロ台半ばだが、フォークボールの落差、キレは一級品である。

 チームのまとめ役だった渡辺直人(30)の放出は痛い。岩隈の女房役でもあった藤井彰人(34)を慰留させなかったのは、嶋基宏(26)を育てる意向があるからだろう。ただ、チームの精神的支柱・山崎武司(42)の責務はさらに増した。星野監督の腹心・田淵幸一コーチ(64)は楽天一期生・大廣翔治(28)の長打力に着目している。内部昇格、育成の余地を残したやり方は、今までの星野野球とは少し異なる。新人・美馬、大廣たちをどこまで底上げできるか、星野監督の手腕に注目だ。(スポーツライター・飯山満)

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