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2014年夏の甲子園情報(2) 「勝ちたかったら、人脈を広げろ」の声

 夏の甲子園大会に出場する代表校の『甲子園球場での練習』がスタートしたのは、8月3日。49代表校の“一番キップ”を手にした市和歌山は守備練習に重点を割いていた。同校の甲子園出場は4度目だが、10年ぶり。初めての聖地を楽しみ、整備の行き渡ったグラウンドの感触を守備練習で確認しているようだった。また、同日の4番目で登場したのが、優勝候補の一角・大阪桐蔭である。昨夏の大会を経験したメンバーも何人か残っていたが、やはり、練習内容はゴロの勢いなど“グラウンドの感触”を確かめる程度だった…。
 各校に割り当てられた『甲子園球場での練習時間』は、1校30分と短い。他にやりたい練習があってもできないのが現実だが−−。

 「大会中、高野連は近郊の学校グラウンドを借り、各出場校に割り当てていますが、それだけでは事足りません」(関東圏の指導者)
 出場校の練習不足は今に始まった話ではない。近畿・中国地区、一部の四国勢が大会期間中、いったん母校に帰り、通常の練習をしているという。これも甲子園の舞台裏としてはよく知られた話だが、一時帰郷のできない関東甲信越、東北、北海道、九州地区の出場校は、高野連が割り当てる練習時間のほかに、「どうやって練習時間(グラウンド)を確保するか」が、重要必須事項となっている。
 「全国区の学校グループは系列校のグラウンドを借りています。常連校は監督、学校関係者のツテで少しずつネットワークを広げ、グラウンドを借りられますが」(同)
 初出場校や5年以上も甲子園から遠ざかっていた高校は『グラウンド確保』に苦労しているようだ。しかし、そんな“常連校有利な裏事情”を見事に跳ね返した高校もあった。

 熊本県代表・城北高校(6年ぶり4回目)は近畿圏の某私立大学の野球グラウンドを借りていた。同校の末次敬典監督は社会人野球でも活躍した。ネットワークは他出場校の指導者よりも広いが、私立大グラウンドを確保できたのはそれだけが理由ではない。
 「神奈川県の有名校関係者が同校とコンタクトがあり、その人物が某私立大との仲介役を務めていました」(関係者の1人)
 監督個人のネットワークも重要なカギとなる。昨春のセンバツ大会の話だが、21世紀枠で出場した遠軽高校(北海道)も、初出場とは思えないネットワークを見せていた。
 関係者によれば、同校の卒業生に強豪野球部を持つ有名企業の役員がいた。その役員は遠軽高校野球部との交遊はなかったが、「宜しかったら、是非」とグラウンド提供を申し出たのだそうだ。そのおかげで大会前は神奈川県で集中合宿を行うこともでき、その社会人チームのグラウンドに近い複数の高校とも練習試合を実施できた。

 今後、高野連は全出場校が、平等、かつ十分な練習時間を確保できるよう、さらに努力しなければならない。全国規模のネットワーク…。強くなりたかったら、越境入学の球児確保のルートよりも『グラウンド提供』のネットワークが重要なのである。(スポーツライター・飯山満)

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