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2011年『12球団ペナントレース総括』 エースのお値段! 埼玉西武編

 昨年度のオフは中島裕之内野手のポスティング問題に加え、エース・涌井秀章投手(25)の『年俸調停』も重なり、気苦労の多いものとなってしまった。近年、西武球団は契約更改で選手と“衝突するケース”が少なくない。球団とすれば、今年のオフこそ、年内に全てを解決させ、スッキリとした気分で新年を迎えたいと思っているはずだ。

 涌井秀章(25)は成績をダウンさせた。9勝12敗。防御率2.97は昨季よりも高いが、投球イニングは前年の196回3分の1から178回3分の1に落ちた。完投した試合は前年が「6=27試合登板」、今年は「5=26試合登板」。06年から続いていた『連続2ケタ勝利』も途切れた。数値だけでは「マイナス査定」が目立つ。『クオリティースタート』(6回を3失点以内に抑える/以下=QS)は、26試合中17回。こちらは『プラス材料』である。チームで10勝以上を挙げたのは、ベテラン・西口文也(39=11勝)だけ。「9勝」と「2ケタの10勝到達」とでは、フロント、監督以下首脳陣の心象も違ってくる…。

 2011年の推定年俸は2億5300万円。2点台の防御率と『QS』の多さがどう評価されるかで、減額分が変わってくる。
 関係者に取材した限りでは、以下のように予想していた。前年度オフの『年俸調整』で年俸調停委員会は涌井側の言い分に軍配を挙げている。そのことを踏まえ、たとえ今回は『ダウン提示』であったとしても、その額はごく僅かで、エース・涌井との信頼関係の修復に努めるのではないか、と−−。
 しかし、渡辺久信監督が今季の報告で後藤高志オーナーを訪ねた11月16日のこと。渡辺監督は報道陣にこう話している。
 「先発投手が(こちらが)計算していたよりもしっかり仕事ができなかった。整備をしっかりして…」
 指揮官が『敗因は先発陣』と言った以上、涌井も“厳罰査定”は免れないだろう。「2010年の推定年俸2億2000万円」以下が提示されるかもしれない。

 昨年度オフの年俸調停において、同委員会は報告書のなかでこう記している。
<西武球団が優勝を逃したのは、チーム全体の責任でもあり、涌井選手にその多くの責任を帰せしめているとすれば、合理性を欠く面がある>
 球団OBによれば、「優勝できなかった年の契約更改は厳しい」という。しかし、特定選手(主力投手)に対し、「チーム成績」を理由に年俸を落とすのは「芳しくない」と年俸調停委員会に指導されている。涌井に減額提示をするのなら、フロントはその理由をより丁寧に説明しなければならない。涌井は今年も代理人交渉を行う予定で、交渉の際にチーム成績の話が持ち出されれば、代理人は調停委員会の指導を持ち出し、強く反論してくるだろう。やはり、交渉は揉めそうだ…。

 涌井の25歳という若さを考えると、3000万円くらいの減額分は後の活躍で取り返せる。「来季見返してやる!」との気概を見せてもいいのではないだろうか。もちろん、契約更改での発言も選手サイドに認められた権利ではあるが…。
 遠征先のホテルや移動中のチームを見ていると、涌井の周囲には常に人が集まっていた。同年代、後輩に強い影響力を持った選手でもあるのだ。「平穏なオフ」になるかどうかは、涌井との交渉次第ではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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