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キャンプ・オープン戦中間報告(3)「横浜」

 去る2月22日、ドラフト4位・小林寛投手(22=大阪学院大)が一軍に合流した。キャンプは新人5投手全てが二軍スタートだったので、小林が一番乗りを果たしたわけだ。『3年連続90敗』のチームを建て直すのは、それなりの時間を要するだろう。小林だけではなく、1位指名の須田幸太(25)、2位・加賀美希昇(22=法政大)、新外国人投手が活躍してくれなければ、尾花高夫監督(53)は今季もかなり厳しい展開を強いられることになるだろう。

 このキャンプで「おおっ!?」と思わせてくれた投手がいた。2年目の加賀繁(25)である。ルーキーイヤーの昨季は味方打線の援護には恵まれなかったが、規定投球イニングに到達。防御率3.66は立派な数字である(リーグ10位)。この加賀がブルペンで面白いボールを投げていた。『緩い変化球』だ。関係者に確認した限りでは「カーブの修得に取り組んでいる」という。昨季の加賀はスライダーなどの変化球も投げていたが、『緩急』を付ける投球技術は持っていなかった。試合中盤につかまる傾向もあり、「スタミナ強化が課題」とも指摘されてきたが、カーブがモノになれば、『勝てる投手』に飛躍してくれるはずだ。
 昨季の勝ち頭は清水直行(10勝)だが、防御率は加賀の方が「上」だ。チーム生え抜きの加賀を開幕投手に選ぶのも、起爆剤になるのではないだろうか。

 新外国人投手で目立ったのは、先発予定の左腕・リーチ(28)。球速はイマイチだが、捕手が構えたところに投げ込んでおり、その精度が良い。
 救援には同じく左腕のブランドン・マン(26)が加わると聞いているが、両外国人投手に働いてもらわなければ、今季も苦しい展開となるだろう。横浜は昨季、左投手の勝利数は「5」。リーグワーストであり、5位チーム(阪神)が「19」だから、いかに左投手の量質ともに欠落していたかが窺える。リーチは09年ドジャースで、救援の経験もあるという。仮に先発で結果が出なければ、セットアッパーにコンバートされるものと思われる。

 また打撃陣では、やはり筒香嘉智(19)の打球は目を引く。尾花監督は「機動力野球」を提唱しているので、筒香の打順は5番、6番、7番が予想される。尾花監督をメイングラウンドで見掛けることが多くなった。昨季は『投手陣の再建』に気を奪われすぎ、内野守備や打撃陣にまで眼が届かなかった。中堅クラスにも声を掛けていたので、野手陣との距離感も縮まったと見ていいだろう。

 難グセを付けるつもりはないが、機動力野球を掲げたわりには、犠打やエンドランといった実戦形式の打撃練習が少なかったのは気掛かりだ(キャンプ前半まで)。投手陣では加賀、リーチ。渡辺直人(30)、森本稀哲(30)の新加入選手は順調な仕上がりを見せており、ダークホースは、ドラフト3位の荒波翔(25)だ。走れるだけでなく、長打力もある。セーフティ・バントも巧い。外野は激戦区だが、スタメンで使ってほしい選手である。遅々としてではあるが、着実にチーム再建は進められている。(スポーツライター・飯山満)

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