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寂しい地味なFA市場

 8年ぶりに二ケタのFA権利行使選手。というと、にぎやかなFA市場を想像するが、残念ながら中身は地味で寂しい。この選手が加われば、来季の優勝戦線の様相が一変するという大物はいない。

 前回二ケタ、10人がFAの権利行使をした02年は豪華メンバーだった。巨人・松井秀喜、桑田真澄、広島・金本知憲、阪神・桧山進次郎、横浜・斎藤隆、鈴木尚典、三浦大輔、近鉄・中村紀、ダイエー・若田部健一、日本ハム・芝草宇宙。移籍したのは、ヤンキース・松井、阪神・金本、横浜・若田部の3人だけだが、注目度、話題性は抜群だった。
 日本球界のホームランキング・松井は「日本で50本打ったゴジラが、ヤンキースでどれだけホームランを打つか」と日米のファンから一挙手一投足を注視されたし、金本は阪神の18年ぶりの優勝に貢献している。このビッグ2はFA市場で輝いている。
 が、今年の11人はインパクトがない。スーパーサブの阪神・関本賢太郎は早々と3年契約で阪神残留。横浜・金城龍彦も残留が基本方針。西武・土肥義彦、日本ハム・建山義紀がメジャー挑戦といっても、取ってくれるチームがあるの? と大きなお世話で心配してしまう。楽天・藤井彰人が阪神と交渉といっても半月板を手術した城島健司が戦列復帰までのカバー要員にすぎない。

 レギュラーになれそうなのは、横浜・内川聖一、西武・細川亨、日本ハム・森本稀哲、オリックス・後藤光尊の4人。メジャー挑戦を口にしているロッテ・小林宏之、ソフトバンク・多村仁志の2人もメジャーでは結果が見えているだろう。国内移籍ならば、それなりの活躍はするだろうが。
 いずれにしても、関本、金城の2人を除いた9人が束になってかかっても02年のヤンキース・松井、阪神・金本のインパクトにはかなわない。実は、昨年も地味で話題にならなかった。巨人・高橋尚成、ヤクルト・五十嵐亮太の2人がメッツ入り、阪神・藤本敦士がヤクルト、日本ハム・藤井秀悟は巨人、ロッテ・橋本将は横浜移籍といった、地味な面々。成功したのは期待されていなかったマイナーからの挑戦のメッツ・高橋、巨人・藤井の2人だけだった。

 長嶋茂雄監督時代の巨人が中日・落合博満、ヤクルト・広沢克己、広島・川口和久、西武・清原和博、ダイエー・工藤公康、広島・江藤智と、他球団の主砲、エースを次々と獲得したFA黄金期は今や昔話だ。大リーグバブルの前に、スター選手が続々と大リーグ入りするようになったからだ。FA選手が来季の日本球界を活性化するというのは、夢のまた夢だ。
 となれば、日本野球機構(NPB)がドラフト会議用に制作した「俺世代、こい。」のポスターに登場した3人衆、広島・前田健太、楽天・田中将大、巨人・坂本勇人の呼びかけに応え、誕生の日本ハム・斎藤佑樹、西武・大石達也、巨人・沢村拓一の大学ビッグ3の活躍に期待するしかない。
 中でも「斎藤と田中の投げ合いは面白いだろう」と、楽天・星野仙一新監督と日本ハム・梨田昌孝監督が早くも来季のパ・リーグの新目玉としてPRしている。これに西武・大石が加われば、さらに話題の輪が広がっていく。他球団で育ったスターの横取りよりも自前のスター育成。そういう時代になったのだ。

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