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パ・リーグ新人王該当者なしの大危機

 リーグの看板スターコンビ、日本ハム・ダルビッシュ有、楽天・岩隈久志が、今オフにポスティング(入札制度)でダブル・メジャー流出の危機に直面しているパ・リーグに追い打ちだ。ニュースターの登竜門になる新人王が10年ぶりに「該当者なし」になりそうだからだ。

 セ・リーグの新人王は、巨人・長野久義(ホンダ)という当確候補がいる。開幕当初はパ・リーグにも大本命がいた。驚異のスタートダッシュで球界に新風を吹き込んだ、西村監督率いるロッテの原動力になった荻野貴司(トヨタ自動車)だ。西村監督が「菊池(雄星=現西武)でなく、どうしても荻野をドラフト1位に指名したい」と球団側に懇請して、獲得した秘蔵っ子は、攻走守に期待通り、いやそれ以上の大活躍をした。が、よりによって最大の売り物の足を骨折して、長期リタイア。新人王レースから脱落してしまったのだ。
 代わってシーズン途中から大きな期待をかけられたのが、3年目の日本ハム・中田翔だ。主力の高橋信二の故障リタイアのチャンスを生かし、ホームランを量産。あっという間に二ケタ近くまで打ち、新人王の最有力候補に名乗りを上げた。
 大阪桐蔭から入団したルーキーイヤーの沖縄・名護キャンプではスポーツ紙の1面を連日飾った期待の金の卵がようやく孵化かと、再び脚光を浴びたが、いつの間にかしりすぼみ。中田同様に一時期ホームランを量産、「左のおかわり君」「球界の遼君」と言われる西武・坂田遼という、ニュースター候補も出てきたが、いかんせんデビューの時期が遅すぎた。

 投票権を持っている、プロ野球担当5年以上の記者たちは「今年のパ・リーグの新人王は誰がいる? 該当者なしで仕方ないよなあ」とため息をついているのが現実だ。スター選手のメジャー流出以上に深刻な事態といえる。
 オリックス・イチローがポスティングで初めてマリナーズ入りした際に、当時ダイエーの監督だった王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)は、こう言い切っており、今も持論としている。「必要以上に悲観的になる必要はないよ。スター選手がいなくなるということは、若手にはチャンスだ。新しいスターは出てくるものだし、我々が育てればいいんだからね」と。
 その言葉通りで、その後、平成の怪物と呼ばれた西武・松坂大輔が、ポスティングでレッドソックス入りしても、地元密着型をモットーにしたパ・リーグ球団人気はしっかり根付いている。楽天・田中将大に代表されるように、次代のスターが育っているからだ。

 ダルビッシュ、岩隈がメジャーへ行っても、代わりのフレッシュな人材が出てくれば問題はない。王氏が強調しているスターの新旧交代はむしろ球界を活性化するからだ。が、10年ぶりの「新人王該当者なし」という事態は、ある意味でダルビッシュ、岩隈のメジャー流出以上に深刻な問題なのだ。
 岡田彰布監督になってオリックスから、ホームランダービートップを走る新主砲のT-岡田と、最多勝レーストップの新エース・金子千尋という投打のニュースターが誕生している。他球団も新しい看板スター育成が急務になる。

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