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最悪は切断… 腕だけでなく足でも血圧を測る重要性(2)

 そして、こんな一例を挙げた。東京に在住の自営業Sさん(65)の場合だ。Sさんは糖尿病と高血圧を患っていたが、足の血管は気にしていなかった。ところが7年前、動脈硬化を発症、足の甲から足裏にかけ“包丁で切られるような痛み”が出て、夜中に寝ていても痛かったという。
 学生時代はテニスをするなど、体力面には自信があった。しかし、仕事に就いてからもたばこは1日60本以上、付き合いの飲酒もありで、医者からは「生活習慣病」を指摘されていた。その後に足に痛みが出たため入院。検査の結果は意外にも「脳梗塞」だった。
 幸いにも脳梗塞は軽く済んだが、病院で詳しく調べていくと、Sさんの足の血管が詰まっていることがわかった。この血栓が全身の血流に影響を与え、足とは真逆な頭の病気を引き起こしていたのだ。
 「運動すると血液は10倍に増えるが、動脈硬化を発症すると血液に乳酸がたまって詰まり、Sさんのように痛みとして出ます。心掛けてほしいのは、早期発見と早期治療。それには自ら進んで定期的な健診を受けるべきです。検査が可能な病院は全国に1万カ所くらいあります」(村上主任)

 こうした足の動脈血栓による厄介な病気を減らそうと、日本心・血管病予防会がキャンペーンを実施。全国7都市で閉塞性動脈硬化症の実態調査『ABI検査』を行った。
 ABI検査というのは、両腕と両足首の血圧を測る検査のこと。
 健康な人は腕より足首の血圧の方が高く「足首の血圧を腕の血圧で割った数値」が1〜1.4以下が正常。0.9以下の“低値異常”が示されると閉塞性硬化症が疑われ、0.9〜1以下がいわゆる境界域だ。
 同予防会によると「数値が1.4を超えることはまずありえない」とし、検査した2286人の2.8%(64人)が低値異常、6.2%(141人)が境界域だった。
 「境界域を含めると、有病率は9%。もっと少ないと思っていたが、この結果には驚きました」(担当者)

 境界域というのは、診断区分上は“予備軍”の位置づけだが、安心はできない。
 境界域の人も低値異常の人と同じように心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいことに変わりはない。
 もうひとつ、怖いデータがある。いろいろの調査から「足に動脈硬化(閉塞性動脈硬化症)が起こった人の場合、5年生存率は60〜70%という。5年で3〜4割の人が命を落とす」というのだ。この数字をどう受け止めるか。それは皆さん次第である。

 最後に、〈足の動脈硬化症状のチェックポイント〉を紹介しよう。
(1)朝晩手足の冷えを強く感じる。
(2)左右の足の皮膚温度が違う。
(3)歩くとふくらはぎ・モモが痛い。
 以上の症状を感じたり、自覚した場合は、迷わず医療機関の診察をすぐ受けることが大事だ。70歳以上の人全員に足の動脈硬化のリスクがあるそうだ。

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