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連載ラノベ 夢ごこち(21)

 デパートからの帰り道は、階段を使わずに、ゆるい坂を歩いて、川辺を回ることにした。健太君は、屋上では元気がなかったけど、アイスキャンディーを取ってくれた時は、小動物みたいにすばしっこかった。やっぱり、男の子だ。

 健太君は前を歩いている。
 健太君が急に立ち止まって、土手際を木の枝でほじくり始めた。しゃがむ時に、半ズボンから出ている健太君の太ももが、たわんで膨らんだ。
 それに、シャツも体にぴったりで、でも健太君は着ている服なんか気にする様子も見せず、気ままに動き回っている。

 健太君は、今度は立ち上がって、走りだした。走り始める時、健太君はベルトをしていない半ズボンを持ち上げた。太もものつけ根が見えた。真っ白。この年頃の男の子って、ほんとうにかわいい。

 健太君のあとをゆっくり歩いて、健太君の横に並んだ。健太君は、さっきから川へ顔を向けている。
 「健ちゃん、何を見てるの」

 聞いたけど、健太君は返事をしないで、川を見ている。
 健太君の視線の先で、男の子たちが遊んでいた。石で流れをせき止めて、自分たちのダムを造っているみたい。水の流れは、速くなっている。

 後ろから、健太君の髪の毛に、そっと触れた。ふんわりしている。もう、抱きしめちゃいたい。健太君の横にしゃがんだ。こうすると、健太君と同じくらいの背丈になる。

 「健ちゃんのお友だち」
 聞きながら、短い刈り上げになっている健太君の髪の毛をなでた。手のひらの内側がこすられて、気持ちいい。

 すると、健太君がこっちを向いた。もっとこすられて、気持ちいい。お腹のところまでかゆくなった。スカートにシャツがちゃんと入っているか、もう片方の手で確かめてしまった。

 健太君は私を見てくれたけど、すましている。瞳が真っ黒。健太君の唇が動いた。
 「知ってる人」

 健太君は、まじめに答えてきた。
 でも、「知ってる人」という答え方が、おかしい。仲良しじゃないけど、どこの家の子だかはわかるってことだ。

 健太君が、また川辺を見た。ダムを造る男の子たちの背中が動いている。その向こうで、川が流れを増している。

(つづく/文・竹内みちまろ/イラスト・ezu.&夜野青)

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