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ダルビッシュが行く…!? 『レンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリトン』は、こんなところ(チームメイト編)

 去る12月20日、建山義紀(35)が札幌市内で取材に応じ、来季、再びチームメイトとなるダルビッシュ有(25)についてもこんなエールを送っていた。
 「いろんなことを気にしすぎない方がいい。ある種、適当な感じを持って行った方がいい」
 この言葉は意義深い。レンジャーズは選手層が厚い。ロン・ワシントン監督は「投手継投策に長けた指揮官」としても知られており、ダルビッシュ個人の完投試合数は減るかもしれない。しかし、打撃陣は得点能力も高く、3点程度ならすぐに取り返してくれる。また、記録上では「失策の多いチーム」ではあるが、各選手の守備範囲の広いため、「内野手の間を抜ける打球に追いつき、エラーが記録されたケースも少なくなかった」(米メディア陣の1人)とのこと。ポスティングシステムは相手球団を選べないが、ダルビッシュはその点では「運が良かった」と言っていいだろう。

 しかし、『捕手』には泣かされそうだ。チームメイトに関して不安材料を挙げるとすれば、マイク・ナポリ(30)は強打で知られており、リード、盗塁阻止率、ボールブロッキングなど守備能力に関しては「平均以下」なのである。エンゼルスでメジャーデビューし、2011年シーズンはキャリアハイとなる30アーチをマーク。三振も多いが、ワシントン監督は打線の得点能力が落ちることを嫌ったのだろう。リード面に定評のあるトレアルバ、トレイナーの控え捕手陣との併用策は用いない。むしろ、守備難に目を瞑っても、「打ちまくって勝つ」というスタイルを貫いてきた。一般論として、メジャーでは「○○専用捕手」という選手起用はしない。ワシントン監督のナポリに対する信頼度を考えると、ダルビッシュはこのリード難のナポリとも呼吸を合せる努力をするべきである。
 「日本球界では捕手のリードに哲学のような要素が入ります。的確な表現ではないかもしれませんが、米球界ではそんな印象を抱いています。まあ、ナポリがそうだとは言いませんが、守備難の捕手がよく仕出かすミスは、僅差で走者を背負った場面になると、状況に応じた球種を要求するのではなく、『自分が捕れる球種』を選択します。ダルビッシュは自分のイメージする球種と違うサインが出たとき、寛容になれるかどうか…」(前出・米メディア陣の1人)

 2011年開幕戦、ダルビッシュは大野奨太捕手との呼吸が合わず、自己ワーストの7失点を記録した。恋女房の鶴岡慎也(30)が故障したためだが、日本ハム投手陣は大野の素質を認めていた。「呼吸が合わない」と大野のリードに難グセを付けていたのはダルビッシュだけだったという。その後、両者は話し合い、配球面に関する食い違いを埋めたが、ナポリに「自分の捕れる球種」だけを要求されれば、ダルビッシュは「やってらんねーよ!」と爆発するだろう。
 アメリカと日本では、配球に関する考え方が大きく異なる。たとえば、カーブが得意な投手がいたとする。しかし、そのカーブの切れ味が悪く、別の変化球が決まっていた場合、それでも、メジャー捕手はカーブ中心の配球を続ける。カーブを要求することがその投手への礼儀だと思っているからだ。
 日本では投手の好不調、その日の変化球の切れ味を見て、ウイニング・ショットを変えてくる。その考え方の違いには、松坂大輔も苦しんだという。
 日本ハム関係者によれば、「鶴岡はダルビッシュの投げたい球種を察し、気持ちよく投げさせてきた」そうだ。ひょっとしたら、ダルビッシュが自分で配球サインを出す場面もあるかもしれない。

 適当になった方がいい−−。
 建山が2連続満塁弾を浴びたとき、ベンチはノホホンとしていた。深刻な表情を浮かべる建山とは対照的だった。こういうレンジャーズの明るさを受け入れる度量も必要である。(了/スポーツライター・飯山満)

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