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専門医に聞け! Q&A アトピーの症状を抑える漢方薬

 Q:数年前からアトピー性皮膚炎で、日光に当たったり汗をかいたりすると痒みが増します。夏が特に辛く、夜は火照ります。お腹を中心に乾燥し、粉を吹いた湿疹が広がっていて、掻くと水っぽく血が出たりします。漢方薬を服用したいので、アドバイスをお願いします。(20歳・宅配便ドライバー)。

 A:アトピーには自然現象、とりわけ「風・湿・熱」が関係していると考えられます。これらが皮膚に取り付き、体の抵抗力(正気)が負けた結果、アトピーが発病するのです。
 アトピーの特徴は強烈な痒みです。東洋医学では昔から、「蕁麻疹になったら風にあたるな」と言いますが、これは「風」が皮膚に取り付き、痒みを引き起こすと考えられていたからです。
 風は、湿気とか熱、乾燥などの邪を伴うことが多く、「湿」もまたアトピーの原因になります。東洋医学でいう「湿」は、外部の気温の湿気だけではありません。体内に余分な水分が貯留・停滞していると、外界の湿と反応して症状がひどくなります。
 質問の方は、夏の夜は肌が火照るとのこと。火照る、のぼせる、喉が渇く、赤い湿疹、便秘などは「熱」、皮膚が乾燥して白く粉を吹いたようになるなどは「燥」によるものです。
 多くの場合、これらが同時に邪となりますが、季節により、その人の体質や、病歴が長いか短いかによって邪の強さと症状は微妙に違ってきます。

●熱を冷ます「温清飲」
 ご相談の方は、痒みが強く、水分もしみ出るので「湿」が、皮膚は乾燥しているので「燥」がそれぞれ強いと思われます。
 しかし、夏にはひどく火照るので、「熱」もあります。アトピーの特徴的な邪がすべてあるわけです。けれど、とりわけ熱の症状が強いようですから、熱を冷ます「温清飲」を服用するとよいでしょう。
 アトピーの方は、肺の機能が弱く、皮膚や鼻、喉などに症状が出やすいのが特徴です。汗で痒くなるとのことですが、適度な運動で肺の機能を高めて、汗をかいたらすぐ皮膚を清潔に保つようにしましょう。
 また、湿疹は脾胃とも大いに関係があります。消化機能が低下していると、余分な水分の貯留・停滞、すなわち「湿」となり、湿疹のもととなるからです。刺激物や甘いものや油分(ナッツを含む)の摂取、冷たい水をがぶ飲みすることや、お酒やタバコも避けましょう。
 まずは、症状に強く現れた邪を取り除き、楽にして、しかるのちに根本となる病を癒やして体質を改善していきます。
 アトピーもまた全身の生命力や抵抗力を満たしていくことで治療が可能なのです。

三浦於菟氏(吉祥寺東方医院院長)
 熱心な東洋医学の名医として著名。東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。東邦大学医学部東洋医学科教授を経て、同大学客員教授。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。

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