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1・4東京ドームにももクロ起用、アミューズとの業務提携から見る新日本プロレスの2016年戦略

 「また1月4日は東京ドームでプロレスやるんですね」

 昨年末、普段プロレスを見ていないたくさんの知人が新日本プロレス最大のビッグイベント、“イッテンヨン”を話題にしていた。2012年にブシロードが新日本プロレスを買収してから行ってきたプロモーション活動は、着実に実を結びつつある。

 買収時にブシロード代表取締役社長(新日本プロレスオーナー)の木谷高明氏は「まずは新日本プロレスを知っていただくことからやっていきたい」と語り、巨額の広告費を投入して広報戦略を開始。夏のG1クライマックスと1・4ドームの開催時期には、JR山手線にラッピング車両を走らせたり、JR総武線の中吊り広告をジャックするなど、派手なプロモーションが恒例化した。

 ブシロード体制5年目を迎えての今大会「WRESTLE KINGDOM 10 in 東京ドーム」もその例に漏れず、ブシロードのホームタウンとも言えるJR秋葉原駅構内のエスカレーター壁部には様々なバリエーションの広告を、原宿の明治通り沿いにはロング看板を掲出した。新宿では西武新宿駅前のユニカビジョンを連夜ジャックしたり、東口のステーションスクエアに巨大看板を掲出。巨大アドトラックが都内を巡回するなど、全対戦カードが出揃った昨年12月上旬から過去最大級のプロモーションを行っていた。

【東京ドームに“ももクロ”杏果が登場!】

 今年のイッテンヨンは、プロレスファン以外の層にも会場に足を運んでもらうための試みとして、ももいろクローバーZの有安杏果がゲスト参加。モノノフレスラーである邪道のセコンドとして、第0試合の時間差バトルロイヤル『ニュージャパンランボー』に登場することが、ももクロからのコメント動画とともに事前にアナウンスされていた。

 2年前の1・4ドーム大会でも、ももクロの参戦が噂されたが(ももクロのライブの演出を担当している佐々木敦規氏が同大会の演出をプロデュースしたため)、ももクロは同日に前橋でライブがあり実現しなかったという経緯もあって、ドームにももクロの登場曲『overture 〜ももいろクローバーZ参上!!〜』が流れると、緑のサイリウムと共に大歓声が木霊した。

 試合後の会見で有安が「東京ドームはまだ単独ではやったことがない会場」と語っていたが、今年行われるももクロの5大ドームツアーの中にも東京ドーム“大会”は含まれていない。「『overture』が東京ドームで流れたのは今日がはじめてらしいです」と邪道が話すと、有安も「『overture』は(プロレスの入場テーマみたいに)イントロが流れたのと同時に盛り上がる曲を作りたくてできた曲なので『overture』が東京ドームに響き渡ったことは感無量でした」と続けた。

 プロレスをオマージュしているももクロだからこそ実現したコラボ企画ゆえ、プロレスファンは終始歓迎ムード。試合後のバックステージは報道陣でごった返しており、有安目当てで取材に来ていたマスコミが多数いたのは言うまでもない。“杏果効果”でイッテンヨンの記事が芸能ニュースとしても発信されたため、世間に対して「新日本プロレスを知ってもらう」効果はかなりあったのではないだろうか。

【アミューズとの業務提携を発表】

 翌1月5日の後楽園ホール大会では、芸能事務所アミューズと新日本プロレスの業務提携が発表された。木谷オーナーは「日本のザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)を作りたい」とリング上で宣言。アミューズの相馬信之常務取締役も「レスラーは表現力の才能がある」と全面的なバックアップを明言した。
すでにアミューズが制作に携わっている海外映画に後藤洋央紀の出演が決まって撮影済みだといい、棚橋弘至も「有名になりたいですね」と目を輝かせた。

 また、アミューズ所属アーティストとのコラボレーションについて囲み会見で質問したところ、相馬氏は「まだ何も決まっていませんが、ウチにはプロレス好きなミュージシャンがたくさんいるので彼らのアイデア次第では十分に考えられる」と語り、木谷オーナーは「なんの前触れもなくコラボをしても(お互いのファンに)受け入れられないが、選手がPVに出演したうえで野外フェスなどで絡んだりするのは自然な流れだと思う」と可能性を示唆した。

 新日本とアミューズが業務提携したニュースは各媒体で報じられ、大きな話題になっている。2016年の新日本はアミューズの全面バックアップにより、選手のメディア露出がさらに増えるだろう。知名度の高さは会場に足を運ぶキッカケとなる。来年のイッテンヨンに向けた戦略は、すでに始まっているのだ。

(増田晋侍)

<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.1>

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