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『名前をなくした女神』最終話、ママ友地獄に落ちた杏の陰影

 フジテレビ系ドラマ『名前をなくした女神』の最終話「5人の女、最後の答え」が、6月21日に放送された。お受験を背景にママ友の虚栄や嫉妬、嘘や裏切りなどドロドロした世界が話題のドラマである。
 最終話は予定調和で進行したものの、新たなママ友地獄を連想させる終わり方となった。

 『名前をなくした女神』の主人公は仕事を辞めて専業主婦になった秋山侑子(杏)である。侑子のママ友の安野ちひろ(尾野真千子)、進藤真央(倉科カナ)、沢田利華子(りょう)、本宮レイナ(木村佳乃)も主役級の扱いで、彼女らを合わせた5人の物語が同時進行する。番組ポスターなどでは5人が並んだ写真が使われている。連続ドラマ初出演の杏を演技派女優陣が支える形である。
 侑子は何気ない言動でママ友の神経を逆なでし、ママ友から恨まれ、陰湿な攻撃を受ける。ママ友の4人は皆、癖のあるキャラクターである。夫のセクハラ疑惑や浮気、セックスレス、経済力など抱える問題も深刻である。そのようなママ友の攻撃は迫力がある。

 最終話で侑子の息子の健太(藤本哉汰)は念願の明峰学園幼稚舎に合格する。しかし、侑子の幸せを許せない利華子は明峰学園に電話して、健太の入学辞退を連絡する。それを知った侑子は利華子の元へ走り、「ねえ。私、何かした? 怒らせるようなこと…」と尋ねる。これに対して利華子は侑子を呆れたように眺め、「何もしてないんじゃない」と突き放した。

 実際の侑子は利華子を怒らせるようなことをしているが、侑子には理解できないという諦めにも似た溝がある。侑子はママ友から攻撃を受ける被害者であるが、完全な意味で善人ではない。明るくまっすぐな性格設定であるが、無意識的に他人を傷つけ、それに気付かない無神経さがある。また、出産後も仕事を続けるキャリアウーマンであったが、会社の都合で退職して専業主婦になったという設定である。仕事がバリバリできるキャリアウーマン・タイプでも純粋な専業主婦タイプでもない。
 このような単純に割り切れないキャラクターを杏が好演した。ファッションモデル出身の杏は、ステレオタイプな明るい専業主婦像とはギャップがある。モデルとしてクールなイメージが強いため、笑顔でも心の底から笑っていないような陰影がある。それが「ママ友地獄」に落ちた主人公にマッチしていた。

(林田力)

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