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角福代理戦争 小沢一郎「壊し屋」最後の大仕事(2)

 この動きを見ただけでも、いかに小沢氏が大阪都構想消滅後に活発な動きを見せ始めたかがわかろうというものだが、気になるのはなぜ今、同氏が息を吹き返したのかという点だろう。そこには「政界の壊し屋」と恐れられた、小沢氏一流の勝算が渦巻いているのである。
 小沢氏とも近い民主党関係者がこう明かす。
 「奇しくも松野が『年内に100人規模の野党勢力』と発言したが、これを言わせた小沢氏の頭にあるのは、昨年暮れの衆院選で民主、維新の党、生活が獲得した比例獲得票数なのです。自民党はこの時に比例で約1766万票を獲得。一方、野党3党は合計で約1919万票を獲得しており、結集すれば来夏の参院選で自民党を上回る比例議席数を獲得できる。つまり、参院で与野党逆転のねじれ現象を引き起こす可能性も少なくないのです」

 だが、そうは言っても自公は衆院の475議席中、327議席(うち自民党292議席)を保有し、参院でも242議席中、135議席(同115議席)もの膨大な議席数を占めている。これをひっくり返すのは並大抵のことではないはずだが、そこに小沢氏特有の秘策が潜んでいるというのである。
 「安全保障法案に理解を示していた橋下が自爆したことで、安倍首相は孤立無援の状態。その慌てぶりが品のないヤジに繋がっていることは明らかだが、これがデタラメな戦争法案であることを追及できれば、政権支持率は急落すると小沢氏は見ている。そのため、国会論戦で自民をガタガタにし、野党共闘で参院選に勝利して政権奪還を狙っていくつもりなのです」(同)

 実際、安全保障法案における安倍政権の迷走ぶりは、各メディアの世論調査にも如実に現れだしており、朝日新聞の調査では「今国会中の成立は必要ない」と答えた者が6割を占めたほど。この状態が続けば、早晩政権支持率が地盤沈下を招く可能性も否めないのだ。
 「そのため、小沢氏は法案の成立を急ぐ安倍政権が論戦を打ち切り、強行採決に出る前に野党連合として法案の撤回要求を突き付けようと画策している。また、自民党がこれを拒否した場合には、一括審議されている11の安全保障法関連法案の分割審議を要求。法案ごとに小委員会を設けることを訴えるつもりなのです。これが実現すれば審議に膨大な時間が掛かり、廃案となるのは確実な上に、世論が大きく動く。野党復活の機運が生まれるのです」(小沢氏に近い議員)

 もっとも、小沢氏にとって好都合なのは、橋下氏の自爆で自民党内にも安倍1強政治に反発の動きが出始めていること。今や安倍首相は、総じて“内憂外患”の危機に陥りだしているのである。
 「その筆頭が5月7日に自民党の若手議員27人が立ち上げた『過去を学び、分厚い保守政治を目指す若手議員の会』(代表発起人・武井俊輔衆院議員)です。この組織は『修正主義的な過剰なナショナリズムを廃し、広範な保守政治を構築すること』を謳っているが、これはまさしく、右傾化する安倍政権の暴走を止めることを目的とした組織。そのため、2回目の会合では講師に招かれた作家の浅田次郎氏が、『戦後70年の総理談話に、侵略の文字を入れるべき!』と過激発言をしたほど。また、同組織の裏には古賀誠元幹事長がいると見られ、今秋の自民党総裁選に野田聖子前総務会長を担ぎ出すとの噂が絶えないのです」(自民党議員)

 また、前出の政治部記者がこう話す。
 「この5月には、二階俊博総務会長が3000人を引き連れ訪中、習近平国家主席と対談に及ぶ派手なパフォーマンスを見せた。だが、安倍首相が理解を示していた都構想や、中国主導のアジアインフラ投資銀行に政府が不参加を表明したことに猛反発を見せていたのは二階自身。総裁選に安倍支持を打ち出す一方で、石原派をはじめとする複数派閥の結集を模索している。これらが合流し反安倍の御旗を掲げれば、安倍総裁再任の芽も吹き飛ぶ可能性がある。小沢にとっては、この内部分裂はまさに好都合と言えるのです」

 果たして、“平成の角福戦争”はどんな結末を見せるのか。しばらく、永田町の動きから目が離せない状態が続きそうだ。

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