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菅原道真の祟りか 関西電力の不動産開発会社と大阪・千里ニュータウンの景観騒動(1)

 世に“景観”に関する紛争のタネは尽きないが、大阪府の豊中市と吹田市にまたがる、千里ニュータウンにある上新田という古くから続く地域で、伝統的建築物と現代建築の衝突が起きている。『千里の天神さん』と親しまれている『上新田天神社(かみしんでん・てん・じんじゃ)』が、あるデベロッパーの進める高層マンションに見下ろされてしまうのだ。
 「この辺りはつい最近まで、朝日新聞社選定の『日本百選』と、豊中市が認定した『豊中百景』にもなった上新田竹林の残る、のどかな土地柄でした。竹林のアーケードを抜けると、そこには300年以上続くうっそうとした森に囲まれた神社があったのです。すでに竹林は伐採されましたが、それは時代の変わり様ですから致し方ありませんが…」(氏子総代の一人)

 豊中市に鎮座する上新田天神社は、菅原道真公を主祭神としている。創建は不明だが、古書からひも解くと、上新田村の開墾が始まった1686年頃、現在地に社殿が再建された。当時から神社の敷地面積はかなり縮小されたが、それでも700坪と広大だ。
 本殿は市の指定有形文化財で、境内で行われる『上新田天神社とんど祭』は、同市指定無形民俗文化財になっている。初詣には10万人もの老若男女が訪れる。
 そんな神社に、どんな異変が起きようとしているのか−−。
 「本殿の真裏に12階建てのマンションが建つのですが、マンションが社殿裏側の鎮守の森を越えてしまった場合、社殿越しに巨大なコンクリートの人工建築物を拝むことになるのです」(別の氏子総代)

 学問の神様である菅原公を差し置いての『拝みのマンション』の登場とはビックリ仰天だが、それもそのはず。開発主体のデベロッパーは、MID都市開発なる不動産会社で、関西電力が90%強の大株主になっている連結子会社なのだ。
 相手が“天下の関電様”では、参拝者はひれ伏さなければならない? そのMID社とはいかなる企業なのか。
 「同社の前身は、パナソニックの創業者・松下幸之助一族やグループ企業の不動産・資産管理会社だった松下興産です。1952年に設立され、松下幸之助翁が1983年まで社長を務めた関西では名の通った企業でしたが、バブル崩壊後、数々の放漫経営が明らかになり、紆余曲折を経て米国のハゲタカ投資ファンドであるエートス・キャピタルがスポンサーになった。その後、同社保有株が関西電力グループに移り、現在は『オール電化住宅』を推進する関電の連結子会社となっています」(経済紙記者)

 マンション建設事業の名は『ロジュマン千里中央プロジェクト』。他事業者として近鉄不動産、伊藤忠都市開発、建設工事を担当する淺沼組などで構成され、事業化されたものだ。
 ロジュマンのHPを閲覧すると、千里中央駅(大阪モノレール・北大阪急行)徒歩6分、新設公園隣接などと駅至近、緑豊かをうたうが、マンション周辺の立体図や平面図には上新田天神社の“かの字”も出てこない。本来、MID社が開発するマンションの“売り”であるはずの『オール電化』も、原発事故の影響による節電意識の高まりがあるせいか、セールスのポイントに挙げられていない。

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