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「いつかあえるといいね」 マンガを避難所へ送る「マンガ直行便」

 現在、10万人以上の被災者が東日本大震災で避難所生活を続けている。命を守る緊急支援に加え、避難所の子どもたちのケアなど、心を満たす物資供給の必要性が高まっている。

 17日、レンタルスペース「空き地」(東京・渋谷区)で、避難所へ送るマンガと絵本の寄贈を受け付けるイベント「マンガ直行便」が、マンガを介したコミュニケーション活動を推進するユニット「マンガナイト」により開催された。集められた約4000冊のマンガと412冊の絵本は、同日のうちに、書店に勤める有志らが必要性やバランスを考慮し、段ボール箱に梱包した。公益社団法人「Civic Force(シビック・フォース)」(東京・港区)が運行する被災地に向けた便に乗せられた。

 マンガナイト代表の山内康裕さん(31)に「マンガ直行便」開催に至るまでの経緯を伺った。

 山内さんらは、震災の発生から自分たちにできることはないかと模索していた。Civic Force発表の被災地が必要とする119の物資リスト(3月24日時点)に、マンガが記載されていることを知った。被災地の現状と支援活動に関する情報を集め、Civic Forceと連携し、寄贈者の方々と避難所の方々が少しでもコミュニケーションを図れるような形でのマンガと絵本の寄贈呼びかけを開始した。

 当日は、開始直後から、大阪や鹿児島など遠方から時間指定の配達が届いた。呼びかけを知った人々が、マンガと絵本を持ち込んだ。ある親子が提供してくれた絵本には、お子さんが書いた、避難所の子どもへ向けた手紙が添えられていた。手紙は「おおきくなったときいつかあえるといいね」と結ばれていた。お子さんが大切にしていた絵本だが、家族で話し合い、被災地へ送ることにしたという。

 会場では、オリジナルの「フキダシしおり」が用意されていた。来場者が、しおりのコメント記入スペースに、持ち込んだマンガの魅力や、印象的なセリフや、本に込めた思いを書き込んだ。マンガ直行便プロジェクトのディレクターである坂井聖美さん(きよみ・29)は、「被災地の子どもたちが記入して次の人へ渡すことにより、心と心がつながる絆になってほしい」と趣旨を語った。

 マンガと絵本に加え、イラストや応援メッセージが多数寄せられた。それらはコピーされ被災地へ送る箱に同封された。また、併設された「チャリティ酒場」では、被災地の地酒やスイーツが販売された。実費を除いた全額が義援金として寄付される。

 「マンガ直行便」の今後の活動について、山内さんは、支援活動には緊急性や優先度の見極めが必要なため、「まずは正確な情報を収集したい」と語った。「しかし、避難所だけがマンガを必要とするわけではなく、別の場所へ移っても、ほんのひとときでも心を満たすことができるマンガは必要とされるはず。長期を見据えて、マンガを介した支援活動を続けたい」と展望を述べた。(竹内みちまろ)

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