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究極ゼロサムゲームの仕組み サルでもわかる!?FX入門

 「あの4億円脱税主婦が教えるFXの奥義」という人を食ったような本が売れている。著者は2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予が確定した池辺雪子氏である。池辺氏は当時、約8億円の収入があったという。主婦がどうやって儲けたんだ、と驚いた投資家は多いはず。書店には池辺氏以外にも、何億円も儲けた主婦の本が並んでいる。本当にFXとはそんなに簡単に儲かるのだろうか。そもそもFXとは一体どんなものなのか。

 FXとはフォーリン・エクスチェンジ。正確には外国為替証拠金取引のことをいう。文字どおり解せば、海外の通貨を証拠金を積んで取引すること。ドルやユーロを購入し、為替変動による為替差益で利益を得ることのように取れるが、仕組みは単純ではない。
 外貨預金などのように現物の通貨を取引はしない。むしろ、金や穀物の先物取引のようにFXの会社のなかでの取引となる。先物取引と同様に、ある一定期間たったあとの売買を契約し、そのときの相場で決済が行われる。現在は円高が続くが、分かりやすくするため1ドル100円として説明しよう。
 仮に100万円で1万ドル買ったとする。円高が進み1ドル90円になると、1ドルにつき10円の損。100万円分だから、10万円を損したことになる。
 しかし、FXの場合、「ドル売り・円買い」からでもスタートすることができる。1万ドルで100万円持っていたことになり、1ドル90円になると、1万ドルが1万1111ドルになり10万円の儲けになる。

 なぜ売りからスタートできるのか。この仕組みはFX会社が実際には、現物の通貨を取引しているのではなく、売りに対して、買いたい客をマッチングさせているだけだからだ。つまり、得をする人がいればその分だけ損をしている人がいる。FXとは、ゼロサムゲームなのである。
 売買する通貨の組み合わせは、円とドルだけではない。円とユーロ、円とポンド、円と豪州ドル。それだけではなく、ドルとユーロ、ユーロと豪州ドルなど数え切れないぐらいの組み合わせが可能なのだ。
 FXに詳しい経済ジャーナリストの菅野進氏は「初心者は、やはり円・ドルから入るのが分かりやすいでしょう。変動の激しいポンドなどはお勧めしません」と語る。
 さらにFXを普及させている原因に、少額から参加できるという気楽さがある。株式の場合は取引の単位株があるので、一定の投資額がなければ始められないが、FXの場合、たとえば5万円からでも取引が可能である。
 そこには、「証拠金」がかかわることになる。FXは先物や株式と同様、レバレッジという仕組みを活用できる。しかも自由度が非常に高い。
 レバレッジとは日本語で梃子(てこ)のことで、FX会社によって異なるが、証拠金の20倍から300倍の取引が可能になる。
 たとえば、100万円の証拠金で300倍のレバレッジで取引を開始すると3億円の取引をすることができる。1ドル85円でドルを買えば、約350万ドルを持つことになり将来、1ドル100円に戻れば、約3億5300万円になる。あっという間に、5300万円の利益を手にすることができる。何億円も稼ぐ主婦が現れるのも、このためである。しかし、レバレッジは儲かるときはよいが「リスク」もハンパではない。前述の菅野氏が言う。
 「はっきり言って、FXはギャンブルです。そこには、ひと握りの勝者の背後に、累々(るいるい)たる敗者が横たわっています。しかし、宝くじなどに比べて、はるかに勝率のよいゲームであることは確かです」

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