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文科系忍者記者ドラゴンの道「本に落書きされた痕跡本の魅力を探る」1

 落書きをされた本を「痕跡本」と捉え、そこから「新しいストーリー」を読み取るユニークな視点を持つ男がいる。
 「古書 五っ葉文庫」の店長、古沢和宏氏は、愛知県犬山市で開催されたイベント、「ブックマークイヌヤマ」のブレーンの1人として、全国のサブカルチャー界や出版業界から注目を浴びている。 
    
 痕跡本のディープな魅力を聞いてみた…古沢和宏氏へのインタビュー(第1回/全3回)

 Q:痕跡本の魅力は何でしょうか?

 A:痕跡本を通して様々な「人」に出会える、という事でしょうか。刻まれた痕跡には前の持ち主の生活の欠片や考え方など、言わば活きた歴史が残されています。本というものは一人だけで読むものですから、その人の考え方や気持ち等がダイレクトにぶつけられていたりすることが多く、普通に生きていたら出会えない、色々な人のリアルな声に触れることができます。
 ただ、痕跡本の本当の面白さはそんな「真実」にしばられていては見えて来ません。そこからいかに面白い物語を見つけ出せるか。それが大事なのです。
 例えばアンダーラインの引かれている本。ただ線引きのあるだけの本だと、この項目に興味があるんだな、という以上に想像が膨らまず、そこで終了です。でもたとえば、引かれたアンダーラインが「割礼」と「同性愛」だけという、昭和33年発行の南の島の楽園模様を描いた本『愛の島々』の場合、同じアンダーラインでも、この人は楽園にどのような憧れを抱いていたのか、どんなバックボーンが…なんて想像すると、途端に物語が膨らみはじめる訳です。

 本に残されている痕跡は、自分の覚えの為に書かれているものが中心なので、時に断片的で不親切で、一見すると意味不明なものがほとんどです。でもだからこそ読み解く楽しみがあるのです。特に、自分とは違う脳内言語や文法で書かれている痕跡本に出会うとしびれますね。真実は一つしかなく、そこに行き当たれば終わりです。でも、想像を加えて読み込んでいけば、物語は途方もない膨らみをみせてくれます。想像で痕跡の隙間を埋め、他人の文法にカルチャーショックを覚えながら、その未知との出会いに感動する事。それが「読書」としての痕跡本の面白さだと思うのです。

 Q:痕跡本でどんなメディアに取り上げられたのか? そしてその反応はどのようなものだったのか?

 A:新聞や雑誌やweb媒体、そしてラジオなどです。何故かテレビは今のところありません。一度何かに取り上げて頂いたものから次のお話が、という形で連鎖的に繋がっていく、という事が多々ありまして、メディアのそこここに居られる、本好きの方に見つけて頂いてはお世話になっている感じなのですが、でもそうして目に留めて頂けていると言う事は、何よりもの励みになっています。

 最近ではイベントを行う際、すでに痕跡本と自分の事を知って下さっている方に出会えたりと、メディアにとりあげていただいたおかげで認知度があがった事を実感することが多々あります。
 また、記事をみて自分の持ってる痕跡本をお譲り下さる方にも出会えたり…。これから先、そういう方とともに痕跡本の楽しさを広げていきながら、それが一般的な楽しみ方、価値観として浸透していったら嬉しいですね。

※第2回へ続く

※古沢和宏
古書 五っ葉文庫
店舗:愛知県犬山市犬山薬師町11-4 キワマリ荘
ブログ : http://ameblo.jp/itutubabunko

※イベント予定:8月31日に名古屋新栄のカフェパルルにて
痕跡本のトークイベントを開催。
http://www.parlwr.net/2010/08/post-6a84.html

※文科系忍者記者ドラゴン・ジョー(山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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