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「地デジ化」に泣く企業

 いよいよ、本年度7月24日にテレビのアナログ放送は終了し、デジタル放送に完全移行する。

 デジタル化完全移行まで約半年。総務省の調査では地デジの普及率は8割超まで達し、現状であれば目標であるアナログ停波には問題ないとの旨が報告されているが、様々なメディアにおいて「実際には想像以上のデジタル難民、テレビ難民が生じる」との分析・評論がなされており、対策が迫られている。

 また、総務省の調査・発表やAVメディア等に関する考察において述べられているのは、基本的には一般家庭・各世帯ごとにおいての話であり、企業やサービス施設においてどういった影響が出るのかを述べている所が非常に少ない。

 デジタル放送への移行に伴って、アナログテレビの買い替えを余儀なくされる事で悲鳴を上げている事業、その一つが「宿泊施設」である。

 特に、観光事業やリゾート事業が衰退し悪戦苦闘している宿泊施設等においては、宿泊施設としての運営ですら日々綱渡りの様な修羅場である中、ここに来て各部屋ごとのテレビを買い替える作業はほぼ不可能に近いという。

 チューナーを取り付けるという形にしても、部屋が50あったら50と、尋常ではない規模の設備投資と作業が要される事になる。

 また、地デジ以降の為にはテレビの買い替えだけではなく、まずデジタル放送に対応したアンテナの工事も必要だ。だがしかし、現状維持ですら厳しいこのご時世においては、その為の予算を捻出する余裕がないのだ。

 筆者自身も年末年始にかけての取材の中で、千葉と茨城、栃木の山村における宿泊施設を五箇所程利用したが、その施設の全てが地デジへの対応が出来ていない状態であった。

 ただでさえ、折からの不況によって零細宿泊施設は次々と廃業に追い込まれる中、CM等で流れる「地デジの準備お願いしまーす」といった、地デジ推進キャンペーンはまるで泣きっ面に蜂どころではない、国をあげての嫌がらせの様に聞こえてくるという。

 訪ねた旅館の一つでは、今後、宿泊客が部屋においてテレビが見れない状態もある程度覚悟し、デジタル化移行への対応はなんとかロビーや食堂等、人が多く集まる場所を優先した形で対応していくという対策を講じている所もあった。

 もしかするとアナログ停波に伴って、近い将来、泊った旅館の部屋でテレビが見れないといったケースが珍しくなくなる可能性が多いにありそうだ。

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