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ノーベル物理学賞 日本人3人受賞の裏に「超弦理論」

 今年のノーベル物理学賞で、小林誠氏、益川敏英氏、南部陽一郎氏3人の日本人が受賞した。日本人に希望を与える明るいニュースだった。この3人の日本人が「なぜ」ノーベル賞を受賞するに至ったか?偉大な科学者の研究成果を知る人は少ない。
 とある研究機関に勤める研究員は次のように語る。
 「今回、3人の日本人が受賞した研究は現在『超弦理論』と呼ばれている物理学の研究成果に対してなのですが、この理論を理解するには相当に頭が良くなければ絶対に無理。それを人に教えるには、さらに頭が良くなければ不可能。物凄い理論なんですけれどね〜」
 今回の受賞のニュースで、ほとんどの報道番組が研究成果にはほとんど触れず受賞者の横顔を紹介するに留まったのには、そんな背景がある。
 ところが、NHKの「クローズアップ現代」が果敢にも受賞に至った研究を解説する“暴挙”に出たのだ。

 「アレはすごくよく出来た番組でした。しかし、印象に残っているのは益川先生の誇らしげな顔とアナウンサーのチンプンカンプンな表情の対比ですかね…」と前出の研究者は語る。
 非常に理解の難しい理論であるが、今回3人の研究にノーベル賞が与えられた事実は、今後の物理学界に一石が投じられたという。
 「現在、盛んに研究されている『超弦理論』が理論的に正しいのではないかという論文が多数発表されています。しかし、この理論に反対する学閥も強く存在し、30年以上壮絶な論議が交わされてきました。この『超弦理論』に結びつく最初の論文を発表した南部氏の受賞は今後の学会が進む方向に大きな影響を与えることは必至です。重要なポイントはこの『超弦理論』は理論の域を出ていないということ。そして、これから研究は立証実験のステージに差し掛かるということ。今回の日本人の受賞の背景には『超弦理論』が抱える現状が反映されています」
 1970年、南部氏は量子力学の分野で「弦理論」と呼ばれる画期的な論文を発表するが、しばらくしてその理論の欠陥が見つかり否定されてしまう。しかし、当時多くの科学者が支持していた理論では、ある一定量を越えた力を説明することができない。
 そこで、再び南部氏の論文にスポットが当たり多くの科学者が改良やその理論に整合性をつけるための発見を重ね「超弦理論」として確立したその理論は現在、物理学の主流となっている。
 およそ30年前に出発した理論は、近年、本格的な実験段階に突入している。今年9月からスイスで稼働した大型ハドロン衝突型加速器では理論を裏付ける多くの成果が期待されているが、その施設は東京〜横浜間ほどの距離を直径とした大きなトンネル状になっている巨大なもの。これを見ても判るとおり「超弦理論」を立証する実験施設には莫大な金がかかるのだ。
「理解するにも説明するにも難しい理論。説得は大変です」
 ところで、最も気になるのは、この「超弦理論」が立証されたとして将来われわれの生活にどのような影響があるかという事だろう。
 「理論物理学者はそこまでは考えないんですよ。それを応用するのは別の才能の仕事なのです。ただ、この理論を理解するのがなぜ難しいかといえばこれまでの常識を覆すものだからです。この理論の正しさが証明されたら、われわれの常識では考えられない影響があると思われます」
 われわれの理解の幅を超えて進化してゆく科学に一抹の不安を感じずにはいられないが、この新しい理論がわれわれの平和を脅かすものではない事を願っている。

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