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新富町のトマソン三角歩道

 「トマソン」と呼ばれる“超芸術”をご存じだろうか。昇った先に何もない階段や、2階外壁に付いた取っ手つきのドアなど、なんらかの事情で本来の役目を果たしていない無用の長物を指す。元巨人軍の助っ人で期待はずれの成績に終わったゲーリー・トマソン選手から引用したネーミングという。つまりは「役立たず」というわけだ。
 そんなトマソンが東京メトロ有楽町線の新富町駅前にある。5番出口を地上にあがった入船橋交差点のすぐそば。ガードレールで周囲を完全に封鎖された行き場のない歩道がそれだ。
 よ〜く観察すると、三角形の歩道エリアが設けられているが、その歩道に人が入ることはできない。強引にガードレールをまたいで入り込んだとしても、どこに行くこともできない。つまり、歩道としての役割を果たしておらず、囲んでいるガードレールもまた何もガードしていない。“死んだエリア”になっているのだ。

 どのような名残りでこの「三角歩道トマソン」が誕生したかは分からない。しかし、周囲一帯の道路環境をみる限り、有効活用法は見当たらず、無用なまま存在し続けるしかなさそうである。しかも悲しいことに、都心のオフィス街で交通量も多いため、周辺のサラリーマンやOLでもその存在に気づいている人は少ない。
 トマソンについては、愛好家のバイブルである「超芸術トマソン」(赤瀬川原平編、筑摩書房)が詳しい。同書では全国のトマソンが紹介されており、新富町では「三段歩道」と呼ばれる無意味な段差のついた歩道が掲載されている。“路上観察学”というらしいが、たまにはトマソン探しもおもしろい。

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