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北島康介 国民栄誉賞を固辞!?

 競泳の男子平泳ぎ100mで、2大会連続金メダルを世界新記録のオマケ付きでやってのけた北島康介(25=日本コカ・コーラ)が、今度は200mで2冠2連覇の偉業に挑む。きょう12日夜に予選を泳ぐ北島は、米大リーグ・マリナーズのイチロー外野手(34)を「キミは魚類か?」とあきれさせるほどの強さ。偉業達成ならば国民栄誉賞“当確”ランプが灯るが、現役続行か受賞かという悩ましい問題に直面することになりそうだ。

 国民栄誉賞授与の明確な基準はない。福田康夫首相の父・赳夫氏が政権を担っていた1977年に「社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった方に対して、その栄誉を讃える」目的で創設された。時の総理大臣のさじ加減ひとつといわれるゆえんだ。内閣支持率アップのために受賞者を利用した…などと陰口をたたかれたケースもある。
 さて、北島が五輪2冠2連覇を達成すれば、いかに低支持率の福田政権とはいえ栄誉賞授与に異論はないはず。ノルウェーの新鋭アレクサンドル・ダーレオーエン(23)を冷静に逆転して振りきった100mは、自己ベストを0秒53も更新する58秒91の世界新。200mは旧敵ブレンダン・ハンセン(26)がいないうえ、世界記録を保持する得意な距離だ。記録更新の期待もかかる。
 英スピード社の高速水着レーザー・レーサーをうまく着こなしており、いまの北島に死角らしいものは見当たらない。柔道の谷亮子(32)が3連覇を逃しているだけに、国民からも「国民栄誉賞を」という声が高まるのは必然とみられる。
 「しかし、それが悩ましい問題を招きそうなんです」と指摘するのはスポーツジャーナリスト。
 「北島は、メジャーを舞台に活躍するイチローを尊敬しています。そのイチローが国民栄誉賞を2度も打診されて『光栄だが、まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい』と辞退しているんです。プロ意識はイチローに通じるものがありますから、現役続行の場合は悩むはずです」(同)
 今年3月、米アリゾナ州でキャンプ中のイチローを北島が訪問したことがあった。2人だけで話し、お土産に愛用のバットを手渡したという。そんなイチローが、北島の快挙を伝え聞いて「4年に1度のチャンスを確実にモノにして、しかも世界新ということに驚嘆している」と絶賛。「しかし、キミは魚類か?」と独特な言い回しでたたえた。
 北島はまだ25歳。選手寿命の短い競泳界でプロ転向の突破口を開いたのは、ほとんどの選手が大学卒業と同時に競技をあきらめざるを得ない現状を打破したかったためといわれる。つまり、できるだけ長く好きな水泳を続けたい思いがある。
 200mでも激突する2歳下の新ライバル・ダーレオーエンがその背中を追いかけてくるから、“勝ち逃げ”はしにくい。プロ転向後は精力的に水泳教室にも参加しており、現役トップ選手としてできる限り、ちびっこスイマーに水泳の楽しさを教えたい気持ちもあるだろう。
 泳ぎそのものも、進化し続けている。今季は柔らかいヒザを利かせたキックに加え、上半身のストローク強化に成功。約12年、師弟関係をむすぶ平井伯昌コーチ(45)は「4WD(4輪駆動)の泳ぎ」と表現する。29歳で迎える2008年ロンドン五輪で、2冠3連覇の大偉業に挑んでもなんら不思議はないわけだ。
 その場合、イチローにならって現役引退までは国民栄誉賞を固辞するのかどうか。国民には気になるところだ。
 プロ野球選手とは異なり、とても40歳までは現役を続けられない競技だが、魚類扱いするイチローばかりでなく、中国でも北島は人間扱いされていない。中国語で平泳ぎを「蛙泳」と書くことから、尊敬の念を込めて「蛙王」と呼ばれている。
 あまり先走ってもいけないが、北島が珍しく涙をみせて「アテネの時以上に気持ちいい。チョー気持ちいいっす」と話したように、重圧のかかる中で完ぺきな泳ぎができた。2冠2連覇への視界良好。「もちろん200mも勝負する。すきを見せないように泳いで勝ちたい」と北島。14日の決勝でもう一度感動を与えてくれそうだ。

○精肉店「きたじま」メダル特需
 北島金メダルの瞬間、実家が経営する東京都荒川区西日暮里の「ミート&デリカきたじま」は、商売そっちのけで親族を含む従業員全員がテレビにかじりついた。出入り業者が来てもだれも気付かないほどだった。金メダル獲得後はお祝いを兼ねた地元客らで行列が途絶えず、名物のメンチカツサンド(税込580円)やメンチカツが爆発的な売れ行きをみせた。
 報道陣に対応するため、北島のマネジメントをするサニーサイドアップが店に張り付いていた。従業員への取材はNGで、遠巻きに店内をうかがうしかない。コメントを取れないと分かって、とんぼ返りするメディアもあった。
 そうした取材規制への“お詫び”もあってか、金メダル獲得直後、店外で待機する十数人の報道陣に「北島商店からのご祝儀です!」とメンチカツサンドと缶コーヒーが振る舞われた。
 約1時間後には報道陣は3倍以上にふくれあがり、お客さんの列も常時10人以上に。通常1000個のメンチカツを揚げるところ、この日は“金メダル特需”を見越して3000個を用意。「毎日毎日メンチばかり食べるわけにもいかない」(地元の主婦)という声が多い中、西日暮里周辺住民のランチ&晩ご飯のおかずはメンチ一色になったはずだ。
 地元に住む20代男性は本紙の取材に「2冠2連覇達成のあかつきには、サービスでメンチカツ2枚入りのメガサンドを」と要求。店先で「これから走るの?」とナイスボケをかました常連客男性が、「走るんじゃなくて泳ぐの!」と突っ込まれるシーンもあった。
 12〜18日は休業し、留守番役も北京で200m観戦に合流する。

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