「先頃、口腔内細胞のDNAを用いて、これまでの方法では親子、兄弟までしか判定できなかった人の血縁関係を、綿棒1本で“またいとこ(いとこの子供同士)”まで判定できる鑑定法を開発したというニュースが流れました。この分野で世界最先端を行くのはFBIですが、日本のレベルもその領域に達しています」(サイエンスライター)
この技術により、大規模災害などでの身元確認や犯罪立件の精度が上がることが期待されるが、DNA鑑定で進んでいるのは血縁関係技術だけではない。動植物のDNA検査も進んでおり、例えば、新しい品種が登場したときには、遺伝子に独自のマークを付けることで、その新品種が盗難されたものかどうかが分かる「DNAマーク」の添付も始まっている。また、人工DNAを利用した偽造防止効果の高いインクも開発され、有価証券など高いセキュリティーが求められる印刷物への適用も期待されている。
「解析方法『ゲーティングナノポア技術』では、大阪大学のグループが小さな穴にDNA1本を通し、その際に電極に流れる電流を読み取るという方法で、非常に少量のサンプル、しかも、短時間で安くできるという方法を世界に先駆けて開発しています。同じ手法は米ハーバード大、英オックスフォード大などとの間で、熾烈な競争が繰り広げられています」(同)
日本は現在「早・安・確」を目指している段階。10万円で遺伝子を全部読んでしまうという体制ができつつあるが、「あと数年で『1時間1万円ポッキリ』という時代が来るかもしれません」(同)と、何やら“激安車検”の宣伝文句のようなレベルまで進んでいるという。
精度の高いDNA鑑定で冤罪がなくなれば、それに越したことはない。