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『トリコ』第15巻、最後の美食屋四天王ゼブラが登場

 島袋光年が週刊少年ジャンプで連載中のグルメ・アクション漫画『トリコ』第15巻が7月4日に発売された。『トリコ』は未知の食材を探求する美食屋トリコとシェフ・小松の冒険を描く作品であるが、この巻で最後の美食屋四天王・ゼブラが初登場となる。単行本の表紙もゼブラである。

 前巻まではトリコと小松のコンビとしての絆と成長を描いてきた。二人の信頼が再確認されたところで、メロウコーラを求めて新たな冒険に出発する。しかし、トリコだけではメロウコーラのあるグルメピラミッド攻略は力不足であり、犯罪者としてグルメ刑務所ハニープリズンに収監中のゼブラを仲間に迎えることになった。
 ゼブラは圧倒的なパワーを持ち、暴力的で破壊的な乱暴者である。唇の一部が欠けていて歯がむき出しとなっており、猛獣じみている。バトルにおいてトリコが霞んでしまいかねない存在であるが、そこは上手に役割分担している。

 一般にゼブラのような筋肉質の力押しタイプは近接格闘戦向きに描かれる。ところが、ゼブラの特技は破壊力を持った声と驚異的な聴力である。遠く離れた敵を声で破壊する長距離戦に向いている。また、驚異的な聴力と遠く離れた場所を探索し、離れた場所にいる仲間に声を届け、その声の力で離れた場所にいる仲間を援護することもできる。ゼブラの性格とは対照的に防御的な能力が冒険では重宝する。
 しかも、この防御的な能力に集中している時はゼブラの他の能力は制限され、襲ってくる生物との近接格闘戦はトリコの役回りになる。主人公の影を薄くしかねない圧倒的な能力を持つキャラクターを仲間に加えながらも、主人公のサポート役として演じさせることに成功している。

 これまでの『トリコ』の冒険では、トリコと小松の関係性が基本であったが、そこに「四天王一の問題児」とされるゼブラが加わる。冒険や戦闘には非力な小松であるが、食材の発見や調理に非凡な才能を見せてきた。この巻ではゼブラも小松の非凡さを感じ取っている。小松とゼブラの関係性にも注目である。
(林田力)

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