search
とじる
トップ > スポーツ > 相撲部屋って儲かるの?(2)

相撲部屋って儲かるの?(2)

 先回、日本相撲協会から部屋持ち親方に対して、部屋維持費、稽古場維持費、力士養成費、養成奨励金が支給され、各部屋はそれをベースに運営していることを記しました。今回は事例を挙げて、運営状況を解説してみたいと思います。

 額も大きい養成奨励金は関取を養成した部屋にしか支給されませんので、関取がいるかどうかで、各部屋の収入には大きな差が出ます。関取のいない部屋の運営は大変です。実は、51部屋中18部屋も関取がいません。元横綱の貴乃花の貴乃花部屋、大乃国の芝田山部屋。元大関の魁傑(現日本相撲協会理事長)の放駒部屋、若嶋津の松ヶ根部屋、大受の朝日山部屋にも関取不在。現役時代、横綱、大関を張った親方の部屋でもなかなか関取を育てられないわけですから、力士のスカウト、育成はたやすいものではありません。

 それでは、関取がいない貴乃花部屋、松ヶ根部屋の例を挙げましょう。力士はともに幕下以下のみ10人です。場所ごとに力士人数分支給される部屋維持費(11万5000円×10人=115万円)、稽古場維持費(4万5000円×10人=45万円)を足して160万円。場所は2カ月に1度ですから、月で換算すると80万円となります。これに、幕下以下の力士人数分が支給される力士養成費(7万円×10人=70万円)がプラスされ、トータル月に150万円が協会から出ます。ここから、地代や光熱費、10人分の食費などが引かれていくわけですから、関取不在の部屋運営は大変です。

 足りない分はタニマチ、後援会からの祝儀、スポンサー収入で補います。むろん、こういった収入も所属力士の番付が上がっていけば、増えていくのはいうまでもないでしょう。また、相撲界には慣習上、上納制度があるといわれています。師匠と弟子はあくまで、徒弟関係であることから、各力士は協会からもらった手当、給与から部屋にいくらかの金を納めなければならない部屋も多いようです。給与が出る関取になれば、持ち出しも多くなるようで、部屋の運営を支えます。“上納”というと、聞こえは悪いのですが、相撲部屋では衣食住が保障されていますから、幕下以下の力士については寮費。関取については稼げるように指導してくれた師匠へのロイヤリティと考えれば、不自然ではないでしょう。それでも足りない場合は、師匠が身銭を切ることになります。ただ、親方は協会から高額な給与、賞与を受けていますから、本当の意味での自腹にはなりません。

 逆に関取がいちばん多いのは元関脇・栃乃和歌の春日野部屋。5人の関取を有し、内訳は三役1人、平幕3人、十両1人。プラス幕下以下が18人。

 これだけ関取がいると、年間の養成奨励金だけで648万円(月当たり54万円)入ります。部屋維持費、稽古場維持費は全力士人数分入りますから、23人在籍で、部屋維持費264万5000円、稽古場維持費103万5000円が場所ごとに入ります。月当たりだと、184万円になります。さらに、幕下以下が18人で、力士養成費は126万円。トータル月当たり364万円が支給されるわけですから、関取不在の部屋とは大違いです。もちろん、力士数が増えれば経費もかかりますが…。

 そんなわけで、関取がいるかどうかで、部屋の収入は大きく異なります。儲けたければ、師匠は強い力士を育てるしかありません。(了)
<※注:数字はすべて2011年1月現在>
(ジャーナリスト/落合一郎)

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ