search
とじる
トップ > レジャー > キャバ嬢が生まれる瞬間(50)〜笑うことが好きになった彩香〜

キャバ嬢が生まれる瞬間(50)〜笑うことが好きになった彩香〜

野崎彩香(仮名・21歳)

 私は昔から笑うことが苦手だった。中学の頃、学校の授業で先生がジョークを言って、クラス全員が爆笑になる状況でも私は一切笑わなかった。本当におもしろくなかったのだ。なぜ皆がそんなに声を荒げるのかがわからない。私の理解力が足りないからなのかと真剣に悩んだこともある。そんな私は先生からしたら可愛げがなかったのだろう。そのせいでいつも理不尽な差別を受けることも多々あった。

 だから私はたとえおもしろいことじゃなくても、とりあえず笑っていたほうが、物事を円滑に進めることができるんだろうと気付いた。

 別に何に対しても笑えないわけじゃない。テレビのバラエティ番組は大好きだし、芸人がやってる漫才やコントとかでいつも笑ってる。でも一般人の話はオチもないことが多いし、本当につまらないと思っちゃう。それが結果的に無愛想になってしまって、高校生になると友達も出来なくなった。そりゃそうだよね。いつもブスっとしている人間と一緒にいても楽しいはずがない。

 大人になった私は「このままじゃ良くない。自分を変えたい」と思った。そんな時に、目に飛び込んできた求人がキャバクラ。そこでの勤務を機に、思いっきり笑えるよう努力しようと誓ったのだ。まず人の話を聞くときは、とにかくオーバーリアクションを心がけた。そうしていると、たとえ相手の話がつまらなかったとしても、興奮しているからなのか、楽しい話に思えてくる。

 もしそれでもつまらなければ、こちらからおもしろくすればいい。相手の1ある笑いをこちらが10に変えるには、的確なツッコミが重要。だから私はテレビ番組や芸人さんのラジオ番組をすべて録音して聞き直し、これだと思ったフレーズはすべてノートにメモした。あとはその言葉を使えそうな状況に分類分けしてひたすら頭に叩き込む。するとトークの途中で、その覚えた言葉が浮かびあがってくるんだよね。あとはフレーズをズバっと突っ込むと笑いが生まれ、それがとても気持ちいい。だからつまらない空間ならば、まず自分が楽しむこと。それを私はキャバクラとのお客さんを通じて知った。今では本当に働いてよかったと思ってるよ。

(取材/構成・篠田エレナ)

関連記事


レジャー→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

レジャー→

もっと見る→

注目タグ