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柔道 泉浩プロ格闘家転向否定の裏事情

 プロ転向が噂されていたアテネ五輪柔道90キロ級銀メダリストの泉浩が総合格闘技参戦を否定した。来年1・4戦極参戦とも言われていたものの、16日の講道館杯後に「全日本選手権を目指す」と表明。あくまで柔道を続けることを強調したが、この決断には柔道界のある事情が見え隠れする。

 泉が柔道家として現役続行を宣言した。
 一部報道でプロ転向を報じられ、戦極マットからは参戦ラブコールまで受けていた。この日は千葉ポートアリーナで行われた講道館杯を終え、プロ転向について「そういうことは考えてません」と完全否定した。
 会見後には「(総合参戦オファーが)ないと言えばウソになります」と漏らしたことから、プロ転向のチャンスがあったことは認めた。だが現段階では「意識が全日本に向いてます」とピシャリ。あくまで柔道家として畳に上がり続ける意志に揺るぎがないことをアピールした。
 しきりに「全日本選手権を目指す」と語った泉だが、2009年4月29日に東京・日本武道館で開催される全日本選手権以降の事には言及しなかった。それだけにプロ転向の可能性が消滅したわけではない。今回、総合格闘技転向を否定した背景に何があったのか。
 全日本のコーチで泉の恩師である持田達人氏は「本人から相談はあったし、迷いがあったんだと思う。でも今、総合格闘技にいっても石井の二番煎じだからね」と話した。確かに石井慧がプロ転向宣言した直後とあって、タイミングとしてインパクトに欠ける。そればかりか、MMAマットへの人材流出が懸念される柔道界にとっても、石井に続いて泉の流出は回避したいところ。柔道界から必至の引き留め工作があったも想像できる。
 この日の講道館杯では100キロ級3回戦で有効を取られて、まさかの黒星を喫した。さらには左足の負傷を懸念して敗者復活戦も棄権するなど、踏んだり蹴ったりの結果。泉は「全日本で日本一を目指すします」と巻き返しを誓った。目標とする全日本選手権後に目指すものは何なのか、この日は格闘家転向を否定したが、まだまだ泉の動向から目が離せそうにない。

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