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王と長嶋〜プロ野球を国民スポーツにした2人の功労者〜(14) 「桑田ではなく清原を取るべきだった」

 WBC東京ラウンド開幕前日の3月5日、都内ホテルで行われたレセプションに元日本代表コンビのONが揃(そろ)って出席した。「長嶋さんも来るというし、一緒になって日本代表を応援しないとね」と、王さんが楽しみにしていた宮崎合宿視察。初日に王さん、最終日前日に長嶋さんと、残念ながらすれ違いだった。それだけに、レセプションでのONの揃い踏みは日本代表への最高の激励になっただろう。

 お洒落(しゃれ)な長嶋さんにオーソドックスでフォーマルな王さん。日ごろの2人のファッションは対照的だが、共通しているのはメガネ。大人の雰囲気で品がいい。このメガネに関しては、互いに頑固で拒否していた時代があった。
 第二次政権下の巨人・長嶋監督は外野に飛球が飛ぶと、ベンチから身を乗り出すようにして目を細めて見る。老眼のために打球がよく見えないからだ。「メガネをかけた方がいいですよ。キャンプやオープンの時にかけているオレンジカラーのサングラスをそのまま使えばいいでしょう」。親しい球界関係者がメガネの着用を勧めるとこう釈明した。「確かに度付きだけど、デーゲームでもないのに、サングラスはないだろう。今、メガネを作ってもらっているところなんだよ。そのうちにかけるよ」と言いながら先延ばしにした。

 面白かったのは、ユニホーム姿で監督室から出てきたところへサインを頼まれると、「オーイ、小俣! メガネを持ってきてくれ」と、監督付き広報の小俣氏にわざわざ監督室からメガネを取ってきてもらい、サインする。そして、「ハイ、これ」とメガネを手渡し、グラウンドに出て行く。
 ダイエー監督に就任して数年経ってから王さんは、メタルフレームのメガネをするようになった。知的な感じでよく似合っていた。メガネのCM出演の話までウワサされ出した。会う人ごとに「本当によく似合いますね」とほめられていた。ところが、いつの間にかメガネを外してしまったのだ。
 ユニホーム生活に別れを告げた現在は2人とも何のこだわりもなく、違和感のない、いやとてもよく似合っている品のいいメガネをかけている。しかし、お眼鏡にかなう選手となると、やはり正反対になる。王さんが自著の「回想」の中で「こと技術に関しては、長嶋さんより上だと確信している。しかし、わたしと違っていたところは、プロ野球というものを長嶋さんが『見せる芸』としてとらえていた点だ」と書いているが、まさにその点がONの選手を見る目の違いになっている。「技術」の王さんと「見せる芸」の長嶋さん。好みの選手が分かれるのは当然だろう。
 「甲子園のスター選手は必ず巨人が獲るべきだ」というのは、長嶋さんの不変の持論。「甲子園でスターだった選手がファンを引き連れてプロに入り、スーパースターになる。プロ入り後に頭角を現した選手はスターにはなっても、スーパースターにはなりにくい」と言い切る。巨人監督1年目に甲子園を熱狂させた鹿児島実業・定岡正二をドラフト1位で獲得。巨人監督に復帰した時には、甲子園で全打席敬遠という伝説を作った怪物ゴジラ、星稜高校・松井秀喜をドラフト1位で指名、クジを引き当てている。王監督時代に巨人は1位指名すると思われたPL学園・清原和博を回避、意表を突き、早大進学内定の桑田真澄を単独1位指名で電撃獲得したが、長嶋さんはこう断言している。「巨人は10年に1人の桑田でなく、20年、30年に1人の清原を取るべきだった。そうすれば、落合をFAで獲得する必要はなかった。巨人の4番は清原で安泰だったのだから」。

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