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2009箱根駅伝予想

 第85回東京箱根間往復大学駅伝競走(東京・大手町読売新聞社前〜神奈川・箱根芦ノ湖間、往路108.0キロメートル復路109.9キロメートル=計10区間217.9キロメートル)は正月2、3の両日、史上最多23チームの健脚が激突する。本紙予想では、実力伯仲の“戦国駅伝”を制するのは東洋大。陸上部員の不祥事で出場すら危ぶまれたが、今大会はずば抜けて戦力が充実しているほか、チーム一丸で逆境を乗り越えた精神面も評価する。下馬評では、連覇のかかる駒沢大、伝統校早稲田大が優勝候補双璧。混戦となりそうだ。

 埼玉・川越の陸上部グラウンド。東洋の駅伝メンバーは、部員逮捕、監督辞任の動揺を押し隠すように務めてリラックスした表情で走っていた。大西一輝主将(4年=岐阜・県岐阜商)は「まだ動揺を引きずっている下級生もいる。僕ら4年がしっかりして結果を出したい」と話した。
 “未完の大砲”柏原竜二(1年=福島・いわき総合)が加わった今大会は優勝を狙える。もう失うものは何もない。大一番直前に引責辞任した川嶋伸次前監督(42)のために走るだけ。恩返しランが快走を呼ぶとみる。
 前回覇者の駒沢は分厚い選手層を誇る。“鬼軍曹”大八木弘明監督のもと、3年生カルテットの宇賀地強(栃木・作新学院)、深津卓也(群馬・農大二)、高林祐介(三重・上野工)、星創太(福島・会津工)が成長。前哨戦の出雲(10月)を2位、全日本(11月)を優勝と、常勝軍団らしく着実に調子を上げてきた。
 読みにくいのは早稲田だ。北京五輪代表の竹澤健介(4年=兵庫・報徳学園)がどの区間を任されるか分からない。大型ルーキーの八木勇樹(兵庫・西脇工)という秘密兵器もスタンバイ。優勝候補からは外せない。
 追うのは、山梨学院、日本、関東学連選抜か。
 山学は、最上級生になったケニアの留学生“ロケット砲”メクボ・J・モグス(山梨・山梨学院大附)が2区で有終の爆走確実。上田誠仁監督は「チームを引っ張るアツい心を持った青年」と全幅の信頼を寄せる。
 日大は、出雲最終区で駒大・宇賀地を捕らえた逆転優勝の立役者、“ジェット砲”ギダウ・ダニエル(3年=ケニア・ガル高)のつくった貯金を守る戦術になりそう。花の2区で先輩格モグスとぶつかれば、相乗効果で好記録も期待できる。
 前回4位の学連選抜は、予選会で6秒差に泣いた法政のメンバーが核。平成国際、学習院、立教から有力ランナーを迎え、上位校を脅かす。前回3位躍進の中央学院、古豪・中央も好レースを展開しそう。
 10位以内に与えられる翌年のシード権争いは、残るシード校の亜細亜、帝京に、前回途中棄権の東海、順天堂が猛追。城西、神奈川、大東文化にも地力があるほか、初出場の上武、33年ぶり出場の青山学院に“一発”がありそうだ。(駅伝特別取材班)

○東洋大学 失うものは何もない、本番直前の再出発

 箱根本番を1カ月後に控えた12月1日、東洋大学陸上競技部に衝撃が走った。陸上部所属の元部員が電車内で女子高生に痴漢をしたとして強制わいせつの現行犯で逮捕。その2日後のミーティングで、川嶋前監督が責任をとって辞任することを選手たちに伝えた。
 部員不祥事と、就任以来7年連続で箱根出場に導いてきた名将の辞任。選手には2度のショックだった。一時は出場すら危ぶまれたが、関東学生陸上競技連盟は出場を条件付きで認めた。
 川嶋前監督の後を引き継いだ佐藤尚監督代行(55)は「事件後、練習を自粛したのは5日間。でも精神的には10日ぐらい他校にハンデを負ったでしょう」と打ち明ける。
 それでもここでめげないのが今年の東洋。主将の大西一輝を中心に必死に立て直しをはかった。「自分も最初は信じませんでした。でも自分が落ち込んでる暇はないので、積極的に『これから練習がんばっていこう』と声を掛けてきました」(大西主将)と、どこか吹っ切れた雰囲気がある。
 箱根経験者11人の厚い選手層に柏原竜二というスーパールーキーも加わった今年は史上最高の布陣となり、川嶋前監督に捧げる箱根初制覇も夢ではない。事件は事件として、本番直前に再出発した東洋の走りに期待したい。(関淳一)

○早稲田大学 花の2区回避?絶対エース竹澤をどこで出すか

 今大会ナンバーワンの選手を挙げるとすれば、間違いなく早稲田のエース竹澤健介だろう。北京五輪では現役学生として44年ぶりに長距離種目で日の丸を背負った。
 その絶対エースが、前回大会は本番2週間前の朝練習で一歩も歩けなくなった。痛み止めを打ちながらのぶっつけ本番。その結果が往路優勝であり、総合でも駒大に次ぐ2位。伸びしろは余りある。
 竹澤は今回も本調子とはいえず、2区回避もウワサされる。だが渡辺康幸監督(35)は「昨年に比べれば仕上がりは十分」と太鼓判を押す。
 竹澤にとって最後の箱根となる今大会、1年の八木勇樹、矢澤曜(神奈川・多摩)らスーパールーキーも加わり、総合力は近年まれにみるほど高まった。エンジ軍団はすでに、駒大の背中を射程圏内にとらえている。

○青山学院イケメン軍団 中継車接近作戦!?

 33年ぶり出場を6秒差でもぎとった青山学院は、おしゃれな青学生のイメージそのままイケメンぞろいの布陣。04年から指揮を執る原晋監督(41)は「うちの選手は明るい性格。男前も多いし、注目されることをパワーの源にしてしまう」と笑う。
 校内は大盛り上がり。在校生の歌手・谷村奈南(21)は「頑張って!」と激励メッセージを寄せた。
 「ふだんは地味で泥臭い練習をさせていますが、取材が来ると選手の目の色が変わるので、マスコミにはあえてポイント練習に来てもらっているんです。本番では沿道は観戦者で埋め尽くされるから怠けず走るだろうし、中継車の近くにおったらもっと張り切るかもしれん(笑)」と原監督。
 箱根路にイケメン旋風は吹くか。(渡辺高嗣)

○初出場上武大 いぶし銀のたすき

 予選会を3位通過。群馬の大学として初出場を決めた。04年、当時のマネージャーがオリンピアンの花田勝彦監督(37)に送った指導依頼のメールが実った瞬間だった。
 群馬の無名大学から箱根を目指すことには困難が付きまとった。県内の有力選手を勧誘しても都内の大学に逃げられてしまう。花田監督は「きみたちが4年のときに箱根を走れるチームにしたい」と口説き、その約束を守った。
 練習では赤城山(1827m)から吹き下ろす関東平野特有の空っ風に悩まされた。たすきは、強さを表す黒にシルバー。「シルバーは磨かないと黒ずんでしまう。うちには金やダイヤモンドみたいな選手はいないが、しっかり磨いた。本番では渋い光を放ってほしい」と監督。
 国定忠治の「赤城の山」からいざ箱根へ。

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