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奈良の神社話その一 神が降る「天石」、四つ目の謎──天川村・天河大弁財天社

 芸能の神として知られ、芸能人らも多数参拝に訪れる天河大弁財天社(天河神社)。濃く深い山と清流に抱かれたこの古社には、「天石」と呼ばれる四つの“神が天降る石”が存在する。

 天河神社は、大峯修験道の中心地・弥山(みせん)の鎮守として弁財天が祀られたのがはじまり。ゆえに大峰本宮とも呼ばれ、今も行者らとの関係が深い。その一方で能楽との縁も強く、古くから能や狂言の奉納も盛ん。山と水を根源とした素朴な弥山への信仰と、水を司り芸能事を守護する弁財天信仰の融合。それが天河神社の歴史といっていいだろう。

 そうした古い信仰を物語るのが天石、すなわち磐座(いわくら)だ。

 磐座とは神の依り代(よりしろ)のこと。かつて人は特別な石に神を降ろし、祈りを捧げていた。やがては石そのものが信仰の対象となり、祀られるようになる。そうした磐座が天河神社の境内に点在するのだ。

 一つ目は本殿へ上がる石段の右、二つ目はその向かいの五社殿前、三つ目は裏参道下の行者堂の左。だが、最後の一つが見当たらない。境内に立つ案内板にも「四石」とあるが、どうしてもわからない。というのも実は四つ目は、境内の手前に流れる天の川の中にあるからなのだ。

 赤い欄干の弁天橋の中心辺りから上流側を見ると、水面から平たい石が顔をのぞかせているのがわかる。本来は2メートル程あるこの石こそが四つ目の天石。ここで七夕に弁天様と素戔嗚尊が年に一度の逢瀬を楽しまれるとされ、七夕には天の川に灯籠を流して神々の出会いに彩りを添える。

 七夕祭だけでなく、天河神社の祭礼はどれも叙情的。パワースポットとしても話題だが、伝統の行事にしっとりと触れるてみるのもおすすめだ。

(写真「本殿下にある五社殿と天石」)
神社ライター 宮家美樹

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