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発ガン性最高レベル「PM2.5」日本列島を襲う飛来危険MAP(2)

 ここまでくると、中国は殺人ガスを毎日のように吐き出していると言っても過言ではないが、対策は講じられているのか。前出の中国在住記者が言う。
 「中国財政部は、大気汚染が激しい北京市など北部を対象に、2013年度に50億元(約800億円)を投じ、PM2.5濃度を前年度に比べ北京地区で25%、上海地区で20%、広東省で15%引き下げる方針を打ち出している。また、北京で現在535万台ある自動車保有台数が600万台を超えないようにするほか、特定の地域に入る車に対し料金を徴収する計画、さらに石炭使用量を1300万トン減らすといい、この対策に、5年間で2000億元〜3000億元(約3兆2000億円〜4兆8000円)つぎ込むとしています。ただ、計画通りいくかどうかは、はなはだ疑問です」

 問題なのは、「爆表」状態となったPM2.5が日本にまで到達しないか、ということだ。日本に飛来するPM2.5は、とくに春と秋に多いといわれる。
 気象予報士の佐藤大介氏が語る。
 「中国国内の映像を見てもわかるように、PM2.5は上空1000メートルぐらいの低い場所を浮遊しています。したがって、日本への影響が心配されるのは上空1万メートルに吹く偏西風に乗って飛んでくるものよりも、季節風に乗って飛来するもの。そちらのほうが圧倒的に多いと考えられます。夏の高気圧は風の流れが1万メートルと背が高いのに対し、移動性高気圧は背が低く、風の流れは1000〜2000メートル。そのため、中国で発生したものが、移動性高気圧が日本に張り出してくる春と秋、季節風によって運ばれてくるのです」

 環境省や九州の各自治体では、「ただちに健康被害があるわけではない」と日本への影響を楽観視しているとはいえ、大陸に近い福岡県などでは健康被害を心配する向きも多い。
 「アメリカでは、基準値以下でも大都会で常にさらされていると、ガンを発症するケースが報告されている。実際、日本国内でもPM2.5が増えれば救急搬送の件数も増えるという報告があります。日本での健康被害は間違いなくあるということです」(前出・医療関係者)

 今年1〜5月の間にPM2.5の大気中濃度が「外出自粛」などの目安となる日本の暫定指針値(1日平均で1立方メートル当たり70マイクログラム)を超えた日は、西日本で3月に2日と、5月に5日。それぞれ、3月は大阪、鳥取、島根、長崎の4府県、5月は愛媛、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の5県だ。今後、ハルビンや北京の上空に大量に滞留したPM2.5が、移動性高気圧に伴う季節風に乗ってくれば、指針値を超える日が連続で訪れる可能性は十分ある。

 さらに気になるのは、汚染が日本国内のどこまで広がるかという点だ。独立行政法人国立環境研究所が発表した、環境基本法に基づき「人の健康のために維持することが望ましい」とされる環境基準(1日平均35マイクログラム以下)を超えた日の汚染マップを見ると、PM2.5は1月13日に九州を除く東北地方、関東、西日本を覆い、1月30日と31日は西日本全域を舐めている。
 「怖いのは、関東から東北をも覆った1月13日のような汚染状態の時です。この日はそれほどの濃度ではなかったが、今年年末から来年頭の冬場、ハルビンで爆発的に発生した、基準値を遥かに超える濃度のPM2.5が同じように日本上空を覆い尽くす可能性がある。こうなるとダメージは計りしれません」(同)

 解決方法はないのか。ジャーナリストの大谷昭宏氏が言う。
 「日本も1960年代に光化学スモッグなど大気汚染に苦しんだ。この問題を根本から解決するには、日中関係のよし悪しにかかわらず、四日市ぜんそくなど4大公害を克服した日本が、中国に対し大気汚染を減らすための技術移転をすることです。政府に水際対策を講じろと言っても問題は解決しません」

 もう時間はない。

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