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『坂の上の雲』日露の悲恋で第二部開始

 NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』第二部が、12月5日から放送開始された。『坂の上の雲』は司馬遼太郎の同名小説を原作としたドラマで、2009年から3年に渡って放送されている。第二部の初回は第6回「日英同盟」である。

 『坂の上の雲』は伊予国・松山出身の3人の男性を主人公に、明治という時代を描く。秋山真之(本木雅弘)、秋山好古(阿部寛)、正岡子規(香川照之)である。司馬史観には賛否があるが、ここでは坂を上っていくような高揚感と明るさのあった時代と位置付けられている。

 特に今年は大河ドラマ『龍馬伝』に続いての放送である。劇中で四国艦隊下関砲撃事件に言及されるなど『坂の上の雲』の明治時代が、『龍馬伝』の舞台である幕末と短い年月で連続していることを実感して感慨深い。また、『龍馬伝』で岩崎弥太郎を熱演した香川照之が正岡子規を演じていることも面白い。

 今回の放送の中心はロシア駐在武官の広瀬武夫(藤本隆宏)とロシアの貴族令嬢・アリアズナ(マリーナ・アレクサンドロワ)の悲恋である。この悲恋物語の尺が長かったためか、タイトルの日英同盟は何の説明もなく、あっさりと締結されてしまった。

 光栄ある孤立を貫いていた大英帝国が東洋の小国・日本と同盟を締結することは世界史の大事件である。ドラマでも伊藤博文(加藤剛)は「英国が日本と対等の同盟を結ぶ筈がない」と言っている。そのような日英同盟をあっさり締結させることは重厚な歴史ドラマを期待する向きには不満もあるだろう。

 ドラマでの伊藤は、穏健路線が恐露病と揶揄され、日露協商交渉も徒労に終わるという損な役回りである。しかし、伊藤の穏健路線は単なる臆病ではなく、リアリズムに徹したためである。また、日露協商交渉も日本がロシア側につくと英国を焦らせ、日英同盟締結を推進する効果があった。

 この辺りの外交交渉を丁寧に描くこともできた。それよりも悲恋物語に時間をかけたことに対し、『坂の上の雲』も「スイーツ(笑)路線」化してしまったかと落胆する向きもある。しかし、外交にしても戦争にしても、国家と国家の間で行われるものであるが、結局のところ、一人一人の個人が影響を受ける。その一つが広瀬とアリアズナの恋であった。悲恋物語は、国家によって引き裂かれる個々人の悲劇の象徴として描く意味がある。
(林田力)

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