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「軍事マニア百科」防衛大学の学園祭潜入記

 11月は学園祭のシーズン。自衛隊の幹部候補を養成する防衛大学校の学園祭は果たしてどんなものなのか? 学生の父兄や近隣住民、受験生らが2日間で2万人以上訪れた「第57回防衛大学開校祭」に潜入した。

 同大では入学と同時に4つの大隊に分けられる。開校祭も各隊中心。11月7〜8日に開催された同祭のテーマは、「威風堂堂」。他大学とはひと味違う荘厳なテーマだ。事情通によると、「注目は学生による観閲式と棒倒し」という。
 観閲式では学生の凛とした所作に観客はじっと見入る。「草食系男子」と呼ばれる最近の若者とは180度異なる姿に、「ほんと、カッコいい」とうっとりする女子高生がいた。
 自衛隊行事では、おなじみのアクロバット飛行を行うブルーインパルスの展示飛行や習志野第一空挺団のパラシュート着陸披露などもあり、会場を盛り上げた。
 しかし、やはり最大の見どころは伝統の「棒倒し」だった。中学時代などにやったそれと一緒にしてはいけない。各大隊ごとに選抜された100人でチーム編成。総長の下、敵陣に攻め込む攻撃局、守備を担当する防御局、作戦を考える参謀局、他大隊の情報を分析する情報局が置かれ、実戦さながらの超本格的バトルが繰り広げられる。
 「勝つと負けるとでは大隊の雰囲気が全然変わってきますね」(防大3回生)とのこと。
 隊の名誉をかけた真剣勝負のため、いくら詳しい作戦を聞こうとしても「それは秘密ですって」(防大4回生)と極秘事項扱いで教えてくれなかった。

 各隊校舎には「団結」などの勇ましいスローガンや必勝を期したフレーズが張られている。開始前からチームごとに集まり、気勢を上げる声が聞こえたら臨戦態勢。会場に駆け足で入場し、連呼による人数確認が終わると100対100の迫力ある棒倒しが開戦した。
 Tシャツが引きちぎられるなどは当たり前。迫力満点の戦いに観客から熱い声援が飛ぶ。「これを毎年見ていると元気をもらえて寿命が伸びるよ」と70代の男性はうれしそうに話す。
 今年の注目は、敵なしの第二大隊が前人未到の5連覇を成し遂げるかどうか。これを阻止して優勝したのは第一大隊。その喜びようは半端ではなく、校内を気勢を上げながら練り歩き、第一大隊宿舎前で「ビールかけ」ならぬ「コーラかけ」で喜びを爆発させた。
 もちろん棒倒しだけではない。「焼きそば」「肉まん」などの模擬店もある。インドネシアやタイからの留学生はお国自慢の名物料理を出品。国際化する防衛大の一端を垣間見ることができた。
 体育館では文化部の発表があった。防衛学研究会の展示テーマは「革命30周年のイラン」。模型研究会では学生が軍事マニアを相手に「対空ミサイルの今後」について話し込んでいた。さすが防大生。さらに「親孝行フェア」と銘打ち、親元を離れて寮生活を送る学生の感謝の手紙が展示されていた。
 ステージでは、ヒップホップダンスや軽い下ネタも入れたユニークなダンスを行う謎の集団「TSO」がパフォーマンスを披露した。
 防衛大はありふれた大学祭とは明らかに一線を画している。未来の国防を担う学生は、真剣でまじめで純粋で、ちょっとだけ今風。礼儀正しくハキハキしていて、気持ちのいい若者が多かった。

◎防衛大学校とは
 幹部自衛官となるべき人材を教育訓練する防衛省管轄の機関。一般大学ではないが、「大学の学部に相当する教育課程」として認定され、文部科学省所管の大学と同様、卒業すれば「学士」の学位が授与される。入学1次試験は3教科の学力試験。旧帝大程度の難易度というから相当の学力が必要。2次試験では身長・体重・視力・尿検査等の身体検査が科される。採用後は被服も支給され、給与も月額約11万円の学生手当と年2回の期末手当(賞与)年額約38万円がある。理工学専攻と人文・社会科学専攻があり、授業では学業以外にも厳しい訓練がある。所在地は神奈川県横須賀市走水1-10-20。京急馬堀海岸駅下車、徒歩約25分。

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