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太陽光パネル乱立で進む森林伐採に揺れる山梨県北杜市シニア別荘地

 八ヶ岳の南麓・山梨県北杜市。人口4万5000人ほどのこの街は、サントリーブランド『南アルプスの天然水』や『白州』の採水・蒸留工場が立地し、豊富で清涼な水資源を有する場所としても有名だ。また、清里高原などの別荘地もある土地柄に加え、市内明野地区は「日照時間日本一」のタイトルホルダー。その風光明媚な北杜市で、太陽光発電を巡る一大騒動が持ち上がっている。

 エコでクリーンなイメージの太陽光発電が、実は“環境利権”の巣窟であることはあまり知られていない。日照時間が長いのを良いことに、同市は今やそのターゲットとなり、破壊的とも言える環境破壊が進行しているのだ。
 「同市は高齢者人口比率が高く、農林業の後継者不足も深刻なため、以前から市長の白倉政司氏が再生エネルギー導入に積極的だった。そんな中、地元住民には『余っている土地はないか』、『太陽光に投資しないか』と嵐のような業者からの電話攻勢が続いていた。結果、観光資源でもある森林がことごとく伐採され、そこへ太陽光発電パネルが林立する状況になったのです」(地元記者)

 太陽光などで発電した電力は、再生可能エネルギーとして電力会社が全量引き取る仕組みが'12年からスタートしている。この「再生エネルギー特別措置法」は、菅直人政権時代に作られたものだが、福島第一原発事故で世論が一気に再生エネルギーに傾き、その比率を高めるべく、同法案に「3年間は事業者の利潤に特に配慮する」といった、利益保証を確保する一項まで付け加えられた。
 「結果、1kWあたり43円というベラボウに高い買取価格(EUの3倍の水準)が決まった(現在は34円)。一方、太陽光発電のコストは劇的に下落し、現在は約20円/kWh。単純計算で1kWhの発電(売電)で20円以上の利益が出る。しかも“20年間の買取保証”というオマケ付き。北杜市はシニア層の移住先にもなっているため、それを狙う異業種からの参入も相次いでいるのです」(同)

 結果、突如チェーンソーで森の伐採が始まり、あっと言う間に発電所が造られるわけだが、「3年前から“法的拘束力のある規制を”と住民の運動は始まっているが、市側の反応は鈍い」(地元住民)という。
 こうした問題は全国各地で起き始めているという。“環境に優しいエネルギー”が自然を破壊するのであれば、本末転倒も甚だしい。

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