だが、それと同時にチーム関係者の中からも「今のうちだから…」と、消極的な声も聞かれた。
「勝因は、最大の懸念材料とされていた救援陣がナンヤカンヤ言われながらも、しっかりと結果を出していることです。ドリスがリーグトップの17セーブを挙げ、セットアッパー役のマテオが稼いだ17HPもリーグトップ。昨季、一軍登板のなかった桑原謙太朗は、すでに40試合中19試合に登板し、防御率は0点台です」(ベテラン記者)
V候補の広島、大型補強の巨人が追撃態勢を整えられず、DeNAにしても、侍ジャパンの4番・筒香嘉智(25)が不調に、体調不良も重なってスタメン落ちしてしまった。
「広島は昨季の沢村賞投手、ジョンソンがいまだ二軍調整中です。WBC出場選手の不振が指摘されていますが、一番重症なのは筒香です。筒香の打席で一打同点、一発が出れば逆転という場面が何度もありましたが、気持ちばかりが焦って、凡打の山を築いています。筒香が復活すれば、セ全体の勢力分布図も大きく変わってきます」(同)
今風の言葉でいえば、筒香の周辺では“塩対応”が続いている。アイドルがファンの前で素っ気ない態度を見せることを言うのだが、大声援に応えられない筒香の態度は、まさにそれ。
また、ラミレス監督も「筒香を信じている」とするコメントを重ねていたが、「悩んでいて、中途半端なスイングをするだけなら、スタメンを外すか、打順を下げるのも一策」と、病気欠場を押し、4番スタメン起用一辺倒だった采配に疑問を呈する声も多い。「見守る」のラミレスの采配も“塩対応”のように映る。
前半戦の山場は、5月30日から始まるセ・パ交流戦だろう。
阪神には'08年、最大13ゲーム差をひっくり返された「メークレジェンド」のトラウマもある。
「金本知憲監督の采配も変わってきました。昨季はどんなに批判が続いても、若手を優先して起用するスタンスだけは絶対に変えませんでした。でも、今年は北條史也をスタメンから外し、高山俊もベンチスタートとなる試合がありました。不振の若手を外したきは、勝利を意識しているからです」(球界関係者)
メークレジェンドの引き立て役にされた'08年、金本監督は現役だった。雪辱の思いが強い。
「仮に優勝できなかったとしても、クライマックスシリーズに進出すれば、金本体制は安泰となり、発言力も強まってきます。昨年オフ、金本監督は鳥谷敬を放出することまで考えていたとされます」(スポーツ紙トラ番記者)
チーム改革を“大義名分”に、金本監督がベテラン勢をリストラしないとも限らないのだ。
有事の際、混乱は必至。チームは好調でも、トラのお家芸は変わらないようだ。