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優勝への第一関門 なぜ、広島カープは『交流戦』に弱いのか!?(前編)

 広島東洋カープがセ・リーグ首位の座を明け渡したのは、交流戦15試合を消化した6月8日だった。同時点での交流戦の成績は4勝11敗、12球団の最下位である。「カープにとって、交流戦は鬼門」−−。よく言われているが、過去9年間の通算成績は96勝134敗10分け。たしかに、この成績では反論のしようもない。
 「広島ナインにも『苦手意識』はあるようですね。今季は球団史上初の『首位』での交流戦突入となり、選手からも前向きな話も聞かれたんですが…」(プロ野球解説者)
“首位広島”が、今季も交流戦で苦戦した理由は何か−−。

 今季に限って言えば、『投手陣の編成』が原因だったのではないだろうか。先発スタッフは前田健太、バリントン、大瀬良大地、九里亜蓮の4人までは計算ができた。
 「昨季、広島は先発4人が2ケタ勝利に到達しました。大竹寛の流出は痛かったが、大瀬良が加入し、九里もオープン戦で結果を出し、野村(謙二郎)監督を安心させました。先発の5番手、6番手が出てくれば、優勝候補の巨人と互角以上の戦いができる、と」(同)
 だが、ここまでチームを牽引してきた大瀬良、九里の両新人投手が揃って不振に…。多少の個人差はあるものの、プロ野球界ではこんな定説も聞かれる。「大学卒、社会人チーム出身の新人投手は6、7月に調子を崩す」−−。理由は簡単だ。これまで約2カ月のリーグ戦しか経験していないため、スタミナ切れしてしまうのだ。それを乗り越えて一人前になっていくのだが、カープが交流戦のこの時期に失速した理由はほかにもある。
 「マエケン(前田)も本調子ではありません。序盤に右肘に違和感を訴え、太股に打球が直撃し、6月10日には脇腹痛による登板回避も発表されました」(NPB関係者)
 先発5、6番手の候補だった篠田純平、野村祐輔、福井優也も出遅れた。篠田、野村は一軍に帰っていたが、本来のピッチングにはまだ程遠い。おそらく、野村監督は「新人頼み」の先発スタッフを見て、この時期の失速も覚悟していたはずだ。

 「広島が好スタートを切ることができたのは、救援陣のおかげでしょう」(前出・プロ野球解説者)
 今年は6年目の中田廉がブレイクし、大竹流出のFA補填で獲得した一岡竜司が巨人で燻っていたウップンを晴らすような好投を続け、経験豊富な永川勝浩、クローザーのミコライオも安定した投球を見せてくれた。
 しかし、その『鉄壁の救援陣』の一角だった一岡が右肩痛で戦線を離脱。ペナントレースが再開するころには復帰できるとのことだが、この時期に『エース』と『セットアッパー』が同時に戦線を離脱するのは痛い。
 「広島というチームはいったん、息切れをする傾向がある。その是非はともかく、広島の春季キャンプ初日から『トップギアの練習』をするので、開幕して1カ月くらいすると、バテる傾向もあって、それが『カープが好調なのは鯉のぼりの季節まで』の俗説にもつながっていました。今季は投手戦力が揃ったので、鯉のぼりの季節が交流戦まで先延ばしになったということかな(笑)」(前出・関係者)

 ライバル球団のスコアラーは「広島は再浮上する」と前置きしたうえでこう言う。
 「広島が昨季までと違うのは、打線の破壊力があることです。伝統的に機動力を駆使した攻撃を得意としていますが、今年は違う。チーム総本塁打数はリーグトップ。エルドレッド、キラ、第5の外国人・ロサリオの活躍が大きい。それに丸、菊池の1、2番コンビの出塁率も高く、得点効率も高くなっている」(前出・同)
 その打線も下降傾向にある。投打ともに同じ時期に不振となってしまったわけだ。
 本塁打数でリーグトップを走る新型打線は脅威だが、広島は伝統的にロースコアの僅差ゲームを征するのが得意だ。交流戦を苦手とする最大の理由は、パ・リーグ6球団にそのロースコア・ゲーム展開に持ち込めないからではないだろうか。(以下後編)

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