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フランス、警察がアジア人に「顔全体を覆え」 差別横行で外出時は恐怖「下を向いて歩く」の声も

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画像はイメージです

 欧州では再び新型コロナウイルスの流行が広がり、各国がロックダウンに踏み切っているが、流行に伴い深刻な問題と化しているのが「アジア人差別」だ。特にフランスは差別が顕著で、ロックダウンとなったことで人々のフラストレーションがアジア人に向き、新型コロナウイルスの流行はアジア人のせいだとして危害を加えようという運動がSNSを中心に展開されている。SNSでは1週間ほど前から「アジア人を見かけたら殴れ」「アジア人に制裁を加えよ」といった言葉が多く投稿されてきたが、ここにきて、実際に被害を受けたアジア人が出てきたようだ。

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 パリに住む20代の中国人女性はマスクをきちんと着用して電車を待っていると、警察官に止められ、「マスクをしろ、もっと顔全体を覆え」と因縁をつけられたそうだ。女性はきちんとマスクをしていたと説明してその場を去ったが、警察官はわざと女性に聞こえる声で周囲の人と悪口を言い始めたという。

 「私がその場を少し離れると、警察官は近くにいたフランス人と『アジア人は電車に乗るべきではない』『アジア人はコロナを運んだ。アジア人がしたことは許されない』と話していました。悲しいというより、そんなふうに言われることが怖かったです」(20代中国人女性)

 また20代のベトナム人女性はマスクをして礼儀正しくバスに乗っていたにもかかわらず、近くにいた老人男性と中年男性の乗客に「アジア人はさっさとバスから降りろ」「フランスから出て行け」と罵られたそうだ。聞こえないふりをしていると、中年男性につばを吐くような仕草をされ、身の危険を感じたと振り返る。

 さらに在仏アジア人家族も被害に遭っている。フランス在住歴が10年近くになる中国人家族は、幼稚園に通う息子が周りの子どもたちから「コロナ」というあだ名で呼ばれていたことにショックを受けたそうだ。しかしもっとショックだったのは、子どもたちの親の態度だという。

 「子どもの差別発言を聞き、親は注意するものだと思っていましたが、むしろ『〇〇君(息子の名前)には近付かないように、〇〇君たちのせいでフランスは大変なことになっているのよ』といったことを言っていて悲しくなりました。今は、息子を幼稚園に行かせるのもためらっています」(中国人家族の父親)

 日本人もアジア人として差別の対象になってはいるものの、あまり外出をしないなどの対策を取っているからか、目立った実害は出ていないと在仏日本人は話す。しかし日常生活で差別を感じる場面に遭遇することはあるそうだ。

 「2回目のロックダウン後、仕事で会った人に、『コロナじゃないよね?』と言われることは数回ありました。相手は冗談のつもりでしょうが、そういった冗談を言っていい雰囲気があることに憤りを感じます。フランス社会が差別を許していると言わざるを得ません。私の周りの日本人に話を聞くと、どうしても外出しなければならない時は、帽子を目深にかぶったり下を向いて歩くという人は多いです」(フランス在住日本人)

 こういった差別に対しては在仏アジア人たちが「#JeNeSuisPasUnVirus(私はウイルスではない)」というハッシュタグをつけてSNS上で差別反対を訴え対抗している。すべてのフランス人がアジア人差別に関与しているわけではないものの、つらい思いをしている在仏アジア人は少なくはないようだ。

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