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金与正「後継者」に人民軍がクーデター兆候

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提供:週刊実話

 北朝鮮の新女帝に早くも試練が訪れている。金与正朝鮮労働党組織指導部第1副部長は、開城工業地帯や金剛山観光地区に軍部隊を展開する可能性を示唆していたが、6月23日、党中央軍事委員会の「予備会議」はこれを撤回した。朝令暮改とも言えるドタバタ劇の深部では、北朝鮮の後継体制をめぐる権力闘争が起きているようだ。

 まず複数の専門家が指摘する疑問は、金日成主席、金正日総書記の統治時期にさかのぼっても、予備会議なる文言を目にしたことがないことだ。

「会議の結果を軍事委員会が発表するのではなく、朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』が報じたことも異例です。おまけに誰が会議を召集したのか、まったく分からない」(国際ジャーナリスト)

 金正恩朝鮮労働党委員長は、韓国のインターネット新聞『デイリーNK』が4月20日に〈心血管系の手術を受けた〉とスクープして以降、何度か公の場に姿を見せたものの、その肉声は報じられていない。一説には糖尿病の合併症によって腎臓機能が低下し、人工透析を受けているという情報もある。

「予備会議の出席者で名前が明らかになっているのは、正恩氏の最側近である李炳鉄党副委員長ぐらい。おそらく何らかの事情で正恩氏が出席できないため、忠誠心の高い人物だけ集めて会議を創作した疑いが濃厚です」(同)

 現状、北朝鮮で軍に命令を下すことができるのは、軍の創設者である金日成主席の血を引き、「最高尊厳」とされる正恩氏だけだ。

「与正氏は『軍で対韓国の強攻軍事案を作成してください』と発言していますが、最高尊厳ではない彼女が軍に命令を下すのは重大な越権行為であり、処罰の対象になってもおかしくない。そのため、与正氏は『金委員長と党、国から付与された権限にのっとって行使』とか『行使権を軍総参謀部に与える』など、細心の注意を払った発言にとどめています」(同)

 しかしながら、前述した対韓国への軍事行動の撤回で、与正氏の面子は丸つぶれだという。

「撤回の前後を注意深く観察すると、軍高官の一部が与正氏に対して『NO!』を突き付け、それを軍の長老たちが容認したようにも推測できます。ある意味、与正氏を追い落とす軍のクーデターが起きているといっても過言ではない。しばらく与正氏の動静が途絶えていますが、もし、それが長引くようなら軟禁状態に置かれている可能性もあります」(軍事ライター)

 というのは、与正氏の対南強硬措置をめぐって、ひと悶着あったからだ。『デイリーNK』の現地情報筋は、開城への部隊再配置に異を唱えた現地指揮官らが、与正氏の指令で拘束されたと報じている。

「2人の指揮官は韓国への強硬姿勢に反対したのではなく、軍事的な合理性から意見を言っただけです。それにもかかわらず、与正氏が示した方針への反抗と捉えられてしまった。ただし、従来と違って風向きがおかしいのは、この拘束に苦言を呈する勢力が存在したことです」(在日韓国人ライター)

 米政府系の放送局『ラジオ・フリー・アジア』は、南北共同連絡事務所の爆破シーンを見た平安北道新義州市の幹部たちが、「まともな建物を破壊して何が自慢したいのか」と、あきれていたと伝えている。

 また、この幹部は「昔から『雌鶏歌えば家滅ぶ(女性が出しゃばるとうまくいかない)』ということわざがあるが、最近、青二才があれこれ出しゃばって大騒ぎしていると思ったら、ついにやらかしてしまった」と、与正氏の一連の行為を酷評しているという。

 北朝鮮は男尊女卑の著しい儒教国家であるため、いまだ与正氏への風当たりは強い。そもそも与正氏の実父である正日氏は、女性が政治に参加することに抵抗感を持っていたとされる。

「正日氏は父親の日成氏の後妻、金聖愛氏と政治闘争を繰り広げたことを教訓とし、女性を権力中枢から遠ざけていた。このことを党や軍の長老世代はよく知っているから、抵抗勢力として“反与正”的な発言が出てくるのです」(北朝鮮ウオッチャー)

 北朝鮮は現在、コロナ禍への警戒から朝中国境を封鎖したことで、90年代後半に飢饉で250万人以上の餓死者を出した「苦難の行軍」の再来が懸念されている。

 そんな折、6月末に『労働新聞』が報じたある記事が波紋を呼んでいる。正恩氏が「草粥」を食べたという内容だ。

「苦難の行軍時代に、父親の正日氏とともに貧しい食事で耐え忍んだという逸話を紹介したのです。しかし、当時の正恩氏はスイスに留学していたはずなので、完全なる絵空事。つまり、こうした苦労話をねつ造せざるを得ないほど、北朝鮮の経済崩壊は深刻で、各階級すべてに不満が蓄積しています」(同)

 正恩氏の健康不安説が囁かれる中、11月に大統領選挙を控える米国が経済制裁の解除に応じる見込みはない。そこに新型コロナの防疫負担が重なり、現在の北朝鮮はトリプルパンチを喰らってKO寸前だ。

「慢性的に国民の5割が栄養失調という状況で、もはや人民も我慢の限界を迎えている。このまま座して死を待つか、いっそ暴発するか。後者なら日本も無傷ではいられません」(前出・国際ジャーナリスト)

 与正氏の一連の過激発言や行動は、まさに「雌鶏歌えば…」だったのか。

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