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コロナ大流行 起因する地球規模の「自然破壊と温暖化」

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提供:週刊実話

「ブラジルでは新型コロナウイルスの犠牲者が悲惨な状況になっているが、ボルソナロ大統領は『ちょっとした風邪』と軽視している。犠牲者の多くは貧困層です。富裕層はというと、マンションに引きこもって出てこない。日本は今のところ、被害は少ないが、軽く考えていると、ニューヨークのような凄惨な状況になるかもしれない。そればかりか、今の、マスクをして2メートルの距離を取るというのがこれから先、常態化するとも考えられる」

 こう語るのは医師で作家の外岡立人氏である。

 東京都は先頃、新型コロナウイルスの感染者が新たに60人報告(6月28日)されたと明らかにした。緊急事態宣言解除後としては最多で、60人を上回るのは5月4日以来だった。都によると、60人のうち31人はホストクラブやキャバクラ、店の客など“夜の街”に関連していた。

「日本はあまり当てはまらないが、この感染症の特徴は貧困層が多く犠牲になるということです。ブラジルに限らず、中国でも富裕層は人と接触しないで済む世界に移住していますね」(外岡氏)

 金持ちが逃げ出したくなるのも当然か。現在の世界の致死率はスペイン風邪(2.5%)より高い5.5%という具合なのである。スペイン風邪がパンデミック(1918年)になった100年前と異なる点は、今回の大流行は地球規模の自然破壊や気候の温暖化が深く関わっていることだ。

「地球の温暖化で、欧州では40度を超える熱波が発生して、米国や南米、シベリアでも、乾燥した高温の大気による森林火災が頻発している。開発が進み、そうした災害の結果、野生生物は棲みかを奪われて人の居住地域に現れ、感染症をバラ撒く。そもそも、新型コロナウイルスの自然宿主は、一説には中国奥地のコウモリだと言われているのです」(外岡氏)

 食物連鎖の上位に位置し、群れを作るコウモリは、病原体にとっては住みやすい環境と言える。MERSコロナウイルスも、SARSコロナウイルスも、その起源はコウモリのウイルスと推定されるのだ。

 中でも、2002年から2003年にかけて流行したSARS。その後、中国のコウモリから多数のコロナウイルスが発見されたと報道された。

 SARSコロナウイルスはコウモリ由来の可能性が高いとされ、コウモリから直接、人間に感染したか、中国の市場で販売されていた食用コウモリをはじめとして、ハクビシンなどの食用動物を介して人間に広まったといわれている。

 エボラ出血熱は極めて致死率の高い感染症だ。1976年、アフリカで流行し、今もアフリカ各地で続いている。何しろ、早期発見、早期治療が遅れると、致死率が80〜90%になるという恐ろしい感染症なのだ。

 生体の防御機構をほぼ完全にすり抜け、タンパク質を分解することで驚異的な毒性を発揮する。免疫系を操作して血管を攻撃させて破壊し、肝臓を始めとする全身の臓器を侵して死に至らしめるというのである。

 エボラ出血熱も複数種のオオコウモリ由来の感染症で、厚生労働省は予防策として、傷口や粘膜にウイルスが入り込まないよう注意し、特に、自分の目・口・鼻を触らないよう呼び掛けている。また、人の触るドアノブやスイッチ、ハンドルなどはウイルスが付着しやすいため、汚れを落として消毒する。手は石鹸を使って洗い、無理な場合はアルコール分を60%以上含むハンドジェルも使用する、などの対策は新型コロナと同じだ。

 外岡氏が続ける。

「野生生物が棲めない状況を人間が作り出した結果、そこにいる野生生物は人のいる環境に来て、このような状況を作り出してしまった。それはこれからも続くでしょう。問題は、人間の手に負えないような厄介な感染症がパンデミックになったらどうするのか、です。先ほども言ったように、富裕層は人と接触しないで済むところに移ればいいが、それができない貧困層はどうするのか」

 気候の変動は予想以上のスピードで進行している。温暖化が進み、例えば、渡り鳥がそこに居ついてしまったらどうするか。

「鳥インフルエンザは自然宿主のカモからニワトリに感染し、ニワトリの免疫機構で排除されるのに対抗し、毒性を強めました。もし、渡り鳥がそこに居ついてしまったら、別種の宿主に感染し、さらに変異することも考えておく必要がある。そうなれば、将来的に、新型コロナより10倍も20倍も毒性の強い感染症がパンデミックになる可能性もある。気候変動は緊急性がないと為政者は思っているかもしれないが、これこそ喫緊の問題ですよ」(外岡氏)

 ウイルス感染が脅威となった、これからの人類の歩む道は苦難に満ちているのである。ともあれ、日本のコロナ対策も心配だ。

「中国の対応は非常に迅速ですよ。北京市は新型コロナウイルスの新たな集団感染が広がり、隣接する省にも波及する状況を受け、緊急対応レベルを上から2番目の『レベル2』に引き上げ、すべての学校の休校を指示した。市外に出る市民には今後、事前のウイルス検査を義務付ける。今の東京の感染者数は、そう怖くはない。しかし、秋になって、100人超えというのが続いたらどうするか。脇が甘いと、アッという間に、ニューヨークの再来になります」(外岡氏)

 ウイルスと環境問題は表裏一体だ。

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