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〈企業・経済深層レポート〉10年前の4倍 拡大するノンアルコールビール市場

 国内のノンアルコール市場が拡大している。サントリーホールディングスが公表した「2019年ノンアルコール飲料レポート」によれば、市場規模は10年前と比較して4倍以上に膨らんだという。加えて、今回の新型コロナウイルスの影響により、我々のお酒の飲み方も変わってきた。在宅ワーク中にリフレッシュするため、ランチや休憩の間にノンアル飲料をたしなむ人が増えたのだ。飲酒を減らす健康志向者も急増しており、さらに市場は拡大していくと推定される。

 冒頭のレポートを詳しく見ると、’18年統計のノンアル飲料市場(ビールテイスト、カクテル、チューハイほか)は、約2209万ケースで対前年103%伸張。’19年は約2265万ケースで、さらに対前年103%伸張と確実に伸びている。
 ’09年4月、キリンビールが日本で初めてアルコール0.00%のビールテイスト飲料「キリンフリー」を発売した。そのキリンの広報担当者も、ノンアル飲料が伸びていると解説する。

「ノンアルコール類が伸びているのは間違いありません。当社でも今年1月から5月までのノンアルコール・ビールテイスト飲料の売り上げは、対前年比104%と順調に伸びています」

 また、その背景を次のように分析してくれた。

「ビールメーカーのノンアル飲料は、当初、飲酒運転防止のため、あるいは、お酒が飲めない人のためなど、代替品として登場しました。ところが、最近は健康のためによい機能性表示食品として評価され、消費が伸びているのです」

 機能性表示食品とは「健康に効果がある」と企業の責任で証明し、それを消費者庁に届け出た商品のことだ。最近では健康志向の高まりで、飲料品やサプリメントだけでなく、野菜や果物などさまざまな機能性表示食品が登場している。

 例えば、昨年10月にキリンが発売したノンアル・ビールテイスト飲料「カラダFREE」は、キリンが10年かけて開発した熟成ホップ由来苦味酸が含まれ、お腹まわりの脂肪(体脂肪)を減らす機能がある。その効能を機能性表示食品としてPRしたところ、健康志向の消費者を中心に人気を呼び、発売から1週間で年間販売目標の5割、約14万ケースを突破する大ヒット商品となった。

 そのキリンに対抗するのがサントリーだ。同社はキリンより一足先の昨年7月、ノンアル・ビールテイスト飲料「からだを想うオールフリー」を発売し、内臓脂肪を減らす成分を配合した機能性表示食品として好評を博した。そして、この好調に気をよくしたサントリーは、今年3月に「オールフリー」をリニューアル、ビールテイストの爽快さをさらに突き詰め、中身、パッケージとも刷新している。

 フードアナリストがこう語る。

「サントリーは3月実績として、『オールフリー』が前年同月比42%増の出荷と、絶好調であることを公表した。やはり消費者に健康志向を評価されています」

 また、サッポロビールも6月23日、新商品の「うまみ搾り」を発売した。

 管理栄養士が語る。

「サッポロ『うまみ搾り』は開発に3年かけたノンアル飲料で、尿酸値を下げる成分を配合している。尿酸値が高いと痛風や腎不全にかかりやすくなるので、それを緩和する新商品は注目されるでしょう」

 アサヒビールには健康志向のノンアル・ビールテイスト飲料「アサヒ ヘルシースタイル」がある。こちらは特定保健用食品(トクホ)で、メーカーが申請したデータを消費者庁が精査し、健康に効果があるとしてお墨付きを与えたものだ。

「’16年2月発売の『アサヒ ヘルシースタイル』は、食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにします」(同)

 ここまで見てくると国内4大ビールメーカーのノンアル・ビールテイスト飲料は、今や健康飲料としてのウエイトを多く占めていることが明らかだ。加えて、各メーカーがノンアル飲料に力を入れる、もう一つの背景がある。

 ビールメーカー関係者が明かす。

「日本のノンアル市場は10年前と比較して4倍に伸びたというが、イギリスの調査会社『ユーロモニター』の調べでは、日本におけるノンアル・ビールテイスト飲料の市場は、まだビール全体の5%前後にすぎない。にもかかわらず、将来を見据えてノンアル商品の開発に躍起になっているのは、世界保健機関(WHO)がアルコールの有害な使用を低減する世界戦略を打ち出しているからです。この指針に沿って、アルコールを控える動きが世界的な潮流になりつつあるのです」

 実際、海外におけるノンアル飲料の伸びを’09年と’19年で比較すると、カナダ431%、イギリス300%と急成長している(ユーロモニター調査)。その波は今後、日本にも押し寄せる気配だ。

 前出のビールメーカー関係者が断言する。

「新型コロナのパンデミックで、人々はますます健康志向を強めており、国内のノンアル市場はさらに伸びると推定されている。ビールメーカーだけでなく、日本酒メーカーやワインメーカーなども、今後はどんどんノンアル市場に参入してくるでしょう」

 メーカー間の競争が激しさを増す中、次はどんなノンアル飲料が登場するのか。

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