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釣れた魚と旨い酒!日本全国釣り行脚 神奈川県湯河原町・新崎川産スミウキゴリ

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提供:週刊実話

 日毎に強まる陽射しと、暖かな陽気を実感するこの季節、何となく恋しくなるのが渓流釣りです。

 といっても、ワタクシが嗜好するのは深山幽谷を流れる沢を釣り登るような本格的なものではなく、ある程度は人の手が入っていて手軽に楽しめる里川で楽しむスタイルです。だって、こちとら運動不足が極まりない四十路のオッサン。日頃している運動なんて“マスをかく”のが関の山です。

“マスを釣る”ために山を分け入るような脚力は、もはや持ち合わせておりません。持ち合わせているのは、絶妙な右手の握力だけでございます、はい。

 話は渓流釣りに戻りまして、地域によってシーズンに若干の差がありますが、おおむね2月下旬から3月上旬に解禁されます。ただ、初期はまだ水温が低く、魚の活性も今一つ。熟練の手練ならまだしも、ワタクシのような“にわか”では、到底太刀打ちできません。

 また、季節の推移が遅れる高地ならなおさら。先日も逸る気持ちを抑えきれずに高地の渓に出かけましたが、これがどうにもならないほどの丸ボウズ。まだ、ワタクシには早かったようです。

 しかし、季節が進んで水が温むにつれて魚の活性も上向き、エサに素直に反応するようになります。何より、新緑に包まれた清流で鳥のさえずりなどを聞きながら竿を出す時間は、とても気持ちがよいものです。

★温泉地の里川でグリグリッ! 堪能

 ということで、神奈川県西部を流れる早川に出かけて参りました。

 まずは温泉場として有名な箱根エリアから竿を出してみますが、湯本から風祭、入生田へと釣り下がっても、まったく気配が感じられません。

「こうなったらウグイでもいいから、オレの(エサを)をくわえてぇ〜」とボヤいてみますが、川のせせらぎに流れていくばかりです。ウグイなんて、以前はうるさいほどに釣れたのに…。

 行き会った地元の方に雑談がてら聞いてみたところ、昨秋に関東地方を襲った大型台風や小魚をガツガツと補食するカワウの影響が疑われているとのこと。ということは、この広〜い川にいるのは、わずか300〜400キログラムの放流魚(ニジマス、ヤマメ)のみってこと…?

 そんなの、オレに釣れるワケないじゃん!

 そこで、こちらも温泉場として有名な隣町・湯河原へと移動し、町内を流れる新崎川で竿を出します。

 ここは管理する漁協がない小さな里川ですから、放流は行われておりませんが、かえって自然の環境が残っており、たま〜に天然物のヤマメが顔を出すこともあります。

 わずかな期待を胸に、石裏周りやいかにもよさげな落ち込みに仕掛けを落としていきます。
「グリグリッ!」

 おおっ、アタった! 本当〜に久々のアタリにドキドキしながら軽く竿を煽ると、「ブルブルッ!」という手応えが伝わりました。上がってきたのは…スミウキゴリじゃ〜ん。ヤマメなどの美しい渓魚とは似ても似つかぬ、どちらかというと醜い容姿の魚です。

 でも、いいんです。早朝から釣り続けて、ようやくの魚信ですし、何よりこういう雑魚が元気なこの健全な環境がうれしいんです。

 エサを付け替えて再び落ち込みに仕掛けを入れると、ほどなく「グリグリッ!」。う〜ん、雑魚が元気な川っていいですねぇ〜。すっかり楽しくなり、ここぞ! というポイントを探って15尾ほどを確保。

 日が沈んで手元が暗くなり、「遠き山に日は落ちて…」の雰囲気を感じながら帰路に就きました。この感じも、何か懐かしくていいものですな。

★素朴な金沢流に魚信を思ふ夜

 今回確保したスミウキゴリは、大きく分けるとハゼの仲間であり、近縁種にウキゴリやシマウキゴリなどがいます。知名度が高い魚ではありませんが、能登・金沢では、これらウキゴリ属を使った料理が古くから親しまれているようです。

 一般的な渓流釣りでは相手にされることのないド雑魚も、地域によっては郷土料理になっているんですな。

 ちなみに、空揚げや刺身で供されるカジカが“本ゴリ”と呼ばれるのに対し、佃煮などに使われるウキゴリ属は“潟ゴリ”と呼ばれており、どちらも人気があります。

 今回釣れたのはウキゴリ属のスミウキゴリですから、金沢流に倣って佃煮にしました。

 弱火で汁を煮詰め、炊き上がったところをパクリ。甘さの中に野性味を感じさせるホロ苦さが感じられ、素朴な味わいが…。う〜ん、たまりません。

「子供の遊びみたいな釣りでも、夢中になれるもんだなぁ〜」

 滋味溢れる肴をアテに、ワンカップをチビチビとやりつつ、「グリグリッ!」という感触を心地よく思い返すのでありました。

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三橋雅彦(みつはしまさひこ)子供の頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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