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名医・博士の健康術 ★今週のテーマ 玉ねぎ

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提供:週刊実話

 動脈硬化、脳梗塞、がんetc.病気と闘う力が高まり、免疫力も上がる!! 玉ねぎのすごい薬効

 アメリカ国立がん研究所が、食べ物でがんを防ぐ目的で世界中の食材を研究した「デザイナーフーズ計画」では、玉ねぎはトップクラスの評価を受けている。

 特に胃がんや大腸がん、食道がんなどの消化器系がんに対して予防効果があることから、「がん予防の切り札」とも言われる。

 麻布医院院長の髙橋弘先生も、がん予防対策として玉ねぎをお勧めする医師の1人である。

 アメリカのハーバード大学でがんや免疫療法に関する研究を行い、帰国後に自身が考案した野菜スープなどを推奨し、生活習慣病の予防や改善に役立てている。

「玉ねぎの薬用効果は、オランダの疫学研究がきっかけで広く知られるようになりました。玉ねぎが心臓病の発症リスクを下げることが明らかになり、他の国でも研究が盛んになりました。そして、玉ねぎに含まれるファイトケミカルに、様々な薬用効果があることが分かりました」(髙橋先生)

 ファイトケミカルは、野菜や果物といった植物が持つ色素や苦味、渋味、香り、辛味などの成分である。特に珍しい植物にあるわけではなく、リコピン(トマト)やイソフラボン(大豆製品)、アントシアニン(ブルーベリー)など、普段、食べている野菜や果物に多く含まれている。そして、玉ねぎには、「イソアリイン」と「ケルセチン」という2つのファイトケミカルが含まれている。

★体を調整する第7の栄養素

 老化や病気の発症に関わる活性酸素の除去、有害物質の排除、がんの予防など、ファイトケミカルには体の様々な機能を調整し、免疫力を高める働きがあることが分かっている。そのため、炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維に続く「第7の栄養素」とも呼ばれる。

「5大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)は、体を構成するのに欠かせない成分やエネルギー源を作りますが、摂りすぎると病気の原因にもなります。生活習慣病はその例の1つです。しかし、ファイトケミカルには生活習慣病の予防や改善に役立つ力が備わっているので、普段の食事でも積極的に取り入れるべきなのです」(髙橋先生)

 玉ねぎに含まれるファイトケミカルのイソアリインはイオウ化合物の一種で、刻まれたり、空気にさらされたり、加熱するなどして細胞が壊れると、玉ねぎ内に含まれる酵素の作用でイソアリシンに変化する。これが玉ねぎ特有の刺激臭や辛味のもとになる。

 イソアリインには高い抗酸化作用があり、細胞を傷つけて病気や老化を引き起こす物質や活性酸素を取り除く。特にLDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぐ作用があるので、動脈硬化などの予防に高い効果を発揮する。

★皮に含まれるケルセチン

 一方、ケルセチンは多くの植物にあるポリフェノールの一種で、玉ねぎの茶色い薄皮に多く含まれる色素成分である。血小板が固まるのを阻み、血液をサラサラにする働きがある。

「玉ねぎのスープを飲んだところ、血小板の凝集作用が有意に低下したという報告もあります。血液がサラサラになることで動脈硬化の進行が抑えられ、心筋梗塞や脳梗塞の予防につながります。玉ねぎの皮を煎じて飲むと高血圧が改善するという民間療法もありますが、これもケルセチンの影響が大きいのだと思われます」(髙橋先生)

 ケルセチンにも強力な抗酸化作用があるので、脳や心血管系疾患の予防にも大きく貢献すると考えられている。フィンランドが行った疫学調査では、「ケルセチンの摂取量が多い人ほど、脳血管疾患の発症リスクが低下した」という結果が出ている。

 さらに、ケルセチンにはがん細胞のアポトーシス(自殺死)を誘導したり、がん細胞の増殖を抑える作用があることも分かっている。他にも、免疫力を強化したり、花粉症などの症状を和らげる抗アレルギー作用、抗炎作用があるなど、実に様々な効果がある。

 玉ねぎには様々な調理法があるが、炒める時も、スライスしてサラダにする時も、皮は捨ててしまいがちだ。しかし、それは大事な栄養素を捨てることにもなるので、有効活用しない手はない。とはいえ、ケルセチンが特に多く含まれている茶色の皮部分は生食には向いていない。そこでお勧めなのが、煎じて飲んだり、煮てスープの出汁にして摂る方法だ。皮を煮出すことでケルセチンの色素が溶け出し、スープが黄金色になる。

 玉ねぎの皮を煮出したスープの作り方は至ってシンプルだ。玉ねぎ3個の皮を水洗いし、水500mlの中に皮を入れて10分ほど煮る。十分煮立ったのち、ざるで濾せば煮出し汁の完成となる。完成した煮出し汁は「良薬は口に苦し」のことわざ通りの苦さなので、水またはお茶で2倍程度に薄めて飲むようにしよう。

★水溶性食物繊維にも注目

 2つのファイトケミカル以外にも、玉ねぎには食物繊維が豊富に含まれている。特に、水溶性食物繊維は腸内でコレステロールの吸収を妨げたり、糖の吸収を抑えて血糖値の急激な上昇を防いだりする。さらに、腸内で善玉菌を増やすので、便秘の解消や免疫力アップにもつながる。また、不溶性食物繊維は腸管内の水分を吸収して便の量を増やし、排便を促す。玉ねぎの健康効果は、絶大なのである。

◉玉ねぎの注目成分
*ファイトケミカル:「ファイト」はギリシャ語で「植物」、ケミカルは「化合物」を表し、植物に含まれる天然の機能性成分を指す。人間が生きていくうえで必要なエネルギーや体を構成する栄養素ではないが、健康維持に高い効果を発揮する。
・イソアリイン:玉ねぎの刺激臭や辛味のもとになる成分で、イオウ化合物の一種。高い抗酸化作用があり、LDLコレステロールの酸化を防ぐ。他にもがんや動脈硬化などの予防に効果を発揮する。
・ケルセチン:玉ねぎの茶色い薄皮に多く含まれる色素成分で、強力な抗酸化作用がある。血液をサラサラにする働きやがん細胞の増殖防止、がん細胞の自然死を誘導する作用などがある。

◉玉ねぎに期待できる様々な健康効果
・血液がサラサラになって高血圧や動脈硬化の予防に貢献
・強い抗酸化作用があり、がん予防や美容に役立つ
・水溶性食物繊維が腸内環境を整える

◉玉ねぎの皮の煮出し汁を作ろう!
[玉ねぎ選びのポイント]
皮の部分をいただくので、皮に汚れや傷み、黒カビがないものを選ぼう。また、実がしっかりしているとよい。
[玉ねぎの保存方法]
玉ねぎをネットなどに入れて、風通しのよい冷暗所に吊るしておく。湿気に当たると腐りやすくなるので、冷蔵庫での保存は極力避けるべきだが、夏場は新聞紙に包んで冷蔵保存しよう。
[具材を入れてスープにしても◎]
玉ねぎの皮を出汁鍋に入れて、他の具材と一緒に煮込んで食べてもよい。

【作り方】
(1)玉ねぎ3個の皮をむいて水洗いする。
(2)水500mlの中に皮を入れ、中火で10分間煮る。
(3)ざるで濾せば、玉ねぎの皮の煮出し汁の完成。
完成した煮出し汁は「良薬は口に苦し」のことわざ通りの苦さ。水で2倍程度に薄めて飲もう。また、冷やして飲むと飲みやすい。

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監修/髙橋弘先生
麻布医院院長。医学博士。ハーバード大学医学部内科元准教授。ファイトケミカルの研究に情熱を注ぎ、ファイトケミカルスープを考案。『ハーバード大学式「野菜スープ」でやせる!若返る!病気が治る!』(マキノ出版)など著書多数。

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