歩き出してしばらくは平気ですが、やがて腰やお尻、下肢にしびれや痛みが生じ、立ち止まってしまいます。しゃがんで背中を丸くする、前屈するなどして休めば、再び歩けるようになります。しかし、この病気があると長い距離を続けて歩くことができません。また、背筋を伸ばして立った時にも、太ももやひざから下にしびれや痛みが生じます。
こうした症状を間欠性跛行といい、動脈硬化による下肢動脈の閉塞(閉塞性動脈硬化症)でも生じます。こちらは体の姿勢に関係なく発症しますが、腰部脊柱管狭窄症の場合は、脊柱管(脳から体へつながる神経の通り道)を広げるとラクになるので、しゃがんだり、背中を丸くすると症状が軽くなります。
治療薬としては、神経組織を障害から回復させるのに有効なビタミンB₁₂、神経の血行をよくする薬剤などが用いられます。
また、脊髄を覆う硬膜の外側にある硬膜外腔に麻酔薬を注射し、神経の炎症を抑えて痛みをのぞく硬膜外ブロックも、有効な治療法の1つです。
ただし、薬やブロックなどをしても症状が改善されず、日常生活に支障をきたす場合は手術を行います。
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監修/井尻慎一郎先生
井尻整形外科院長。医学博士。著書・監修書に『痛いところから分かる 骨・関節・神経の逆引診断事典』(創元社)、『筋肉のからくり 動かし方を変えるだけでコリと激痛が消える!』(宝島社)などがあるほか、論文、講演、テレビ出演などで活躍中。井尻整形外科HPはhttps://ijiri.jp