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大阪府警が強硬手段に――六代目山口組 直参逮捕の衝撃

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提供:週刊実話

 警察当局による抗争抑止が目的とみられる取り締まりが強まり、3月25日には大阪府警によって六代目山口組の髙野永次幹部(三代目織田組組長=大阪中央)ら3人が、大阪府暴排条例違反の疑いで逮捕された。

 髙野幹部は1月7日、暴排条例によって組事務所の開設が禁じられた東大阪市内の児童福祉施設から、100メートルの場所に組事務所を開設した疑いが持たれたのだ。

「織田組本部は特定抗争指定で定められた警戒区域内にあり、使用禁止となっています。そのため、府警は区域外である東大阪市に移転したとみて、逮捕に踏み切ったようです」(全国紙社会部記者)

 しかし、逮捕案件となった3階建ての建物は、平成22年の暴排条例施行前からあったという。

「かつては、六代目山口組直系組織の本部事務所やった。平成19年にその組が組長の引退に伴って解散したあと、織田組が引き継いだんやが、すでに大阪市内に本部事務所があったから、関係先として使ってたらしいで。特定抗争指定においては区域外やし、当局がマークしとった可能性はあるが、今になって使い始めたわけでもないのにな…」(ベテラン記者)

 特定抗争指定の効力が発揮されて以降、区域外への組事務所移転に絡んでの逮捕は初めてとなる。当局が敏感に反応を示した結果といえ、暴排条例の施行後では、禁止区域に組事務所を新設したとして摘発されたケースは少なくなかった。そのほとんどが略式起訴による罰金刑で済んでいるが、六代目山口組直参が逮捕、起訴され、裁判で有罪判決を受けたこともあった。

 平成29年1月、若中の一ノ宮敏彰・一道会会長(福岡)が、禁止区域に一道会の本部事務所を開設、運営したとして、暴排条例違反の疑いで逮捕されたのだ。

「前年の1月に当時の一道会本部へ、神戸山口組系幹部らが火炎瓶を投げ付ける事件が起きたんや。周辺住民が事務所の使用差し止めを求める仮処分を、福岡地裁に申し立てて認められたんやが、その直前に一道会は本部を移転しとったわけや。その移転先は、条例施行前から別の六代目山口組直系組織が、本部として使用しとった。せやのに、検察は一道会本部の新規開設に当たる、いう解釈でもって起訴したんや」(同)

 一ノ宮会長は裁判で懲役9月、執行猶予4年(求刑は懲役1年)の有罪判決を受け、「今後は本部として使用しない」との誓約書も提出。執行猶予付きの判決となったが、建物を住居としていることから猶予期間が長くなったようだ。
「この判例を見れば、山口組の分裂後、暴排条例の禁止区域での取り締まりが、異常に強化されたんが分かるやろ。警察は、拠点を奪うことで抗争を起こさせないようにしとるんやないか。それを直参逮捕でアピールしとるとしか思えん」(同)

 同じ3月25日、大阪地検が植野雄仁・二代目兼一会会長(大阪中央)を傷害罪で起訴。警戒を強めていることがうかがえたのだ。

 3月26日には兵庫、愛知、大阪、京都、三重、岐阜の各公安委員会が、六代目山口組と神戸山口組に対する特定抗争指定を4月7日から延長することを決定。3カ月間の延長となり、抗争の終結には時間が掛かるとみているようだ。

「特定抗争指定は、分裂が続いている状態では何回でも延長されるやろ。三重県での銃撃こそ起きたが、1月7日に効力が発揮されて以降は、対立だと明確に分かるような事件は発生しとらんから、警察も手応えを感じとるんやないか」(関西の組織関係者)

 しかし、神戸山口組が存続する限り、山口組の分裂問題は終わらない。特定抗争指定の最中でも、両組織がアクションを起こす可能性は十分にあるのだ。

 また、分裂に絡んだ法廷闘争も続いており、3月23日、組織犯罪処罰法違反(組織的監禁)などに問われた六代目山口組直参の新井錠士・二代目章友会会長(大阪北)と、同会最高幹部ら3人の公判が大阪地裁で開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、法廷内の一般傍聴席は間隔をあけて座るという対策が取られる中、この日は同罪などに問われた章友会・牧有吾本部長の被告人質問が行われたのである。

 章友会からの脱退を妨害されたなどとする被害者のA元組員は、詐欺事件で釈放されて章友会本部に戻って来た際、牧本部長から「無期限謹慎、坊主、住所変更」を言い渡されたと証言していた。しかし、証言台に立った牧本部長はキッパリと否定し、こう述べた。

「Aは本部の人間(章友会直参)ではなく本部預かりなので、謹慎にはなっていない。『一から頑張る』と言っていたので、坊主にしたのは、その意思表示だと思った。住所変更については、Aが他人名義の携帯電話を使っていて、詐欺事件を担当した刑事から注意されたというのを聞いていたから。名義を本人に変えるなら、住民票と違う場所に居住していると犯罪に問われるため、変更したほうがいいということになった」

 また、牧本部長が事務所にいた組員らに「Aがまた頑張るので面倒見てやってくれよ」と言うと、A元組員は「迷惑かけてすみません。これから頑張りますので、よろしくお願いします」と挨拶したという。

 翌日、新幹線で来阪した新井会長の出迎えに、A元組員も同行。駅階下の喫茶店で新井会長から30分にわたって叱責されたとA元組員は証言したが、牧本部長はこう反論した。

「Aは詐欺事件の示談金を会長に出してもらい、挨拶に行きたいと言うから連れて行った。確かに喫茶店には行ったが、会長は『信用を取り戻すのは大変やから頑張れよ』と、逆にAを励ましていた」

 その後、A元組員は章友会本部から姿を消したという。牧本部長は、「去る者は追わずというのが会長の方針なので、捜すことはなかったし、『捜せ』との指示も一切なかった」と述べ、真っ向からA元組員の証言を否定したのである。

 新井会長らの裁判では、大阪府警による証拠写真の“偽造疑惑”も浮上し、長期戦に突入。次回公判では、章友会・髙橋将道若頭の被告人質問が予定されており、大阪での裁判の行方が注目されている。

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