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ヤクルト、奥川の炎症は“ブラフ”だった? 他球団も警戒、意味深なキャンプ二軍スタートのワケとは

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 シーズン途中から先発ローテーションに入っているのではないだろうか。

 東京ヤクルトスワローズのドラフト1位ルーキー、奥川恭伸投手が“投球”を再開した。右肘の炎症が1月の新人自主トレ中に見つかり、ノースローでの調整が続けられていた。しかし、2月6日にキャッチボールを再開。他の二軍選手とほぼ同じ練習メニューもこなしていた。

 「奥川は投げたくてウズウズしていたみたい。二軍首脳陣がキャッチボールの距離を制限させるなど、ブレーキをかけていました」(スポーツ紙記者)

 ここまで聞くと、メスを入れたような大怪我を負ったようだが、本当は違った。もちろん、ヤクルトは好投手を何人も故障させてしまった“過去”がある。慎重を期して、ノースロー調整をさせたと見るべきだろう。

 「1月15日、球団は念のため、神奈川県下の病院で奥川の右肘を診てもらっています」(前出・同)

 前監督の小川淳司GMを始め、複数も球団関係者が「プロで4、5年やっているピッチャーなら、放っておく程度」と話していた。今回の措置は「無理をさせない」のひと言に尽きる。とは言え、ヤクルトがここまで奥川の調整に慎重を期した理由は、将来性を考えただけではなかった。

 奥川も先発ローテーションを争う“投手リスト”に名前が入っているからだ。

 「昨季のヤクルトで、規定投球イニング数に達したピッチャーは小川泰弘だけ。それも、5勝12敗と負け越しています。弱点の先発投手をどう補っていくかが今季の課題」(プロ野球解説者)

 投手力の補強。外国人投手2人を獲得し、さらにドラフトでは2、3、4位で大学生投手を指名している。

 「大卒の3人の新人投手は全員一軍スタートとなりました。2位の吉田大喜(22=日体大)は即戦力と評価されています。ただ、国際試合などではセットアッパーを任されてきたので、短いイニングで光るタイプなのかも」(前出・スポーツ紙記者)

 しかし、他のセ5球団がもっとも恐れているのが、奥川なのだ。奥川の投げるボールの軌道は田中将大に似ている。田中はプロ一年目から一軍マウンドを経験した。奥川を追い掛けた全球団のスカウトは「当時の田中よりも上」と見ており、「田中がプロ一年目から通用したのだから、奥川も」と警戒している。

 ノースローの調整が長かった以上、開幕一軍は間に合わないかもしれないが、順調に行けばシーズン中盤には出てくるというのが対戦チームの見解だ。

 「二軍スタートとなったことで、むしろブキミ。昨季の日本ハム・吉田輝星のように二軍で登板したら、即一軍という流れも十分に考えられます。吉田が一軍初マウンドで勝利投手になれたのは、対戦チームのデータが少なかったせいもあります。奥川がいきなり出てきたら…」(在京球団スタッフ)

 奥川の二軍スタートは右肘の炎症だけが理由ではなかったようだ。「隠す」ためでもあったようだ。肘の炎症が完治するのは、時間の問題。高津監督はこのドライチルーキーを一軍マウンドに上げるタイミングを見計らっているのだろう。甲子園ヒーローが神宮球場のマウンドで躍動する。興味深い光景が見られそうだ。(スポーツライター・飯山満)

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