「昨年7月の参院選の公示前、自民党本部から案里議員支部と夫である河井克行前法相支部に、合わせて1億5000万円が支払われていたのです。自民党内でも『資金投入は安倍首相の強い意向』『いや二階幹事長と菅官房長官の仕業』などと、党を二分する内紛に発展しつつあります」(政治担当記者)
要は、広島代理戦争に端を発した安倍自民分裂の様相を孕んでいるのだ。
「かつて米軍辺野古移設を抱える沖縄の国政選挙で1億円前後が投入されたが、広島は争点もないのに案里陣営だけ異常な大金を渡した。同じ選挙区で戦った自民党岸田派の溝手顕正陣営への党資金は1500万円。1億5000万円に下村博文・自民党選対委員長でさえ『桁違い。ありえない話』と語ったほどです」(同・記者)
広島選挙区(定員2)で自民党は、現職で6期目を目指した溝手氏に加え、新人の案里氏を擁立。理由は「広島は2議席狙える」と安倍首相サイドが強く主張したためだという。
「広島では自民2議席独占は無理。2人擁立ならどちらかが討ち死にするのは分かりきっていた。広島は岸田派牙城のため、重鎮の溝手単独擁立を県連は強く主張したが、党本部は案里氏の出馬をゴリ押し。結果はどうだ。10倍の選挙資金を受け取った案里氏が当選し、溝手氏は落選。そうした歪みを生んだ元凶は首相と菅官房長官だ」(地元後援者)
軍資金だけではない。安倍事務所は案里氏への選対として秘書4人を派遣した上、安倍、菅両氏も広島に入り、案里氏の応援演説に奔走した。
「1億5000万円なんて、菅官房長官も二階幹事長も1人で決断できない金額です。安倍首相の指示でしょう。ポスト安倍を狙う岸田政調会長も黙ってはいられないはず」(前出の記者)
仁義なき戦いに発展か。