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本好きのリビドー

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提供:週刊実話

 悦楽の1冊『プロ野球解説者「無敵バッテリー」がゆく 野球の正論』江本孟紀・里崎智也 徳間書店刊 1500円(本体価格)

★プロ野球界をとことんぶった切る

 ロッテに無事入団した“令和の怪物”佐々木朗希君。彼をめぐって昨夏の甲子園で騒がれたいわゆる球数制限問題だが、そもそもプロ球界でも試合中の投球数が100を超えた段階でそろそろ替え時、のような風潮がなぜ生まれたのか。

 筆者の記憶では“百球肩”なる単語を初めて目に耳にしたのは80年代、かつて昭和の怪物と呼ばれた江川卓氏が巨人のエースの時代だ。それまで快投していたのに6回頃から急激に打たれ出す姿を評した言葉だったはずで、以後は転じてピッチャーの疲労度を測る目安、投手交代を見極めるタイミングの一基準となる数字になってしまった観は否めない。

 しかし、本書の著者両氏にかかれば「それがどうした」の一言でバッサリ。個人のスタミナにかかわる話をピッチャー全体の問題にまで押し広げた結果、現在の若手選手が温室育ち状態で甘やかされることになったと手厳しい。確かにいっとき、“下半身強化と称して何百段もの石段をウサギ跳びで登らせるトレーニングには科学的根拠が全くない”式な、ある種のスパルタ否定論が持てはやされたが(『科学』と言われりゃ印籠のごとき効果も大)、果たしてどこまで正しかったのか。

 新人はベテランと大して変わらぬような内容の練習量では意味がなく、いかに若いうちに己の肉体をいじめ抜けるかが重要で、四の五の言わず徹底的な投げ込み・打ち込み・走り込みによってしか作られないのがプロの体。逆に、その程度で壊れる体ならプロで長続きしないし、それ以前に通用しない…遠慮・忖度・依怙贔屓一切なし、批判の対象も全部実名で展開する両氏の痛快な議論に業種を超えて膝を叩きまくり。この納得と説得の1冊を座右にすれば、今シーズン観戦の興味倍増は確実。
_(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】

 信用調査会社の帝国データバンクによると、新年を迎えてから1月14日現在まで負債30億円以上で倒産した企業が、日本ですでに7社ある。負債総額30億円未満まで含めたら、どれくらいの会社が傾いたか想像もできない。「倒産」と聞いても、さほど驚くこともなくなった昨今だ。

 だが、これが一時代を築いた会社やグローバル企業となると、世間の注目が一気に集まる。『世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由』(日経BP/税込1980円)は、そんな大企業の倒産顛末記から教訓を学ぼうという1冊だ。

 取り上げる倒産劇は全25社。邦人企業では山一證券(平成9年)、そごう(同12年)、スカイマーク(同27年)、タカタ(同29年)など。当時はニュースで大々的に報道された。

 なぜ倒産したか。同書では、例えばスカイマークは「攻め一辺倒が裏目」、タカタは「経営者が現場を知らない」。また、英会話教室NOVAのケースでは、「規律がなさすぎた」と分析する。いずれも最大の責任は経営者にあったと示唆しているが、現場、つまり従業員にも原因があったと手厳しい。

 一連の倒産から得る教訓には、先を見通す目や戦略の不足など経営者向けのものが多いが、「人間の弱さ」が随所に顔を出すという点も、戒めとして指摘している。弱さが表面化すると、焦りや不正を生むからだ。経営者だけでなく、従業員も陥りやすい悪循環だろう。

 悪循環にハマったら、従業員は会社から逃げ出すに限る。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

【話題の1冊】著者インタビュー トッカグン
自衛隊芸人トッカグンの日用品で簡単にできる!!超自衛隊式防災サバイバルBOOK 双葉社 1,300円(本体価格)

★「部屋は個室で17時から自由」はうそでした

――元自衛官という異色のコンビですが、現役時代はどんな部隊にいたのですか?
佐藤 陸上自衛隊東北方面隊第二特科群第304観測中隊というところにいました。主に弾の観測をしていました。自衛隊の地方協力幹部の方から勧誘され入隊したんですが「部屋は個室で17時からは自由だよ」と言う話は完全にうそでしたね(笑)。
小野寺 現役時代は、今のコンビ名にもなっている、特科群(トッカグン)に所属していました。特科は大砲の部隊の名前です。戦闘部隊と呼ばれ、厳しい訓練、緊張感のある部隊で、僕は203ミリ自走榴弾砲という自衛隊最大口径の大砲の引き金を引く役目でした。

――芸人になろうとしたきっかけはなんですか?
佐藤 相方に誘われたからです。昔からバラエティー番組が好きで、よく見ていたというのもありますね。でも、本当は田舎者で東京に憧れがあったのが一番かも(笑)。
小野寺 やはり一度東京で暮らしてみたいという気持ちが強かったですね。東京のバイト仲間たちが俳優や歌手などを目指していて、僕も芸能界に憧れました。そんな仲間に誘われるまま吉本のお笑い養成所に入りました。

――YouTubeのチャンネル登録者数が18万人に迫る勢いです。今までで一番評判だったのは、どんな動画ですか?
小野寺 『自衛隊式着地法』ですね。パラシュート部隊が地面に着地する時に、衝撃を身体の5カ所に分散させる着地法です。ちょっとした高所から落下しても対処できるため、興味を持たれたんだと思います。

――最近は、災害への対応力が求められています。役に立つサバイバル術を教えて下さい。
佐藤 停電時に便利なのが『即席ランタン』です。使うものは懐中電灯と水の入ったペットボトルだけ。懐中電灯のライト部分の上にペットボトルを乗せると簡易照明になりますよ。想像以上に明るくなりますので、ぜひ、試してみてください。
小野寺 昨年は台風の影響で車が水没する事故が多発しました。車のドアは、半分くらいの高さ(60センチ程度)の水位でも通常の5倍の力がないと開きません。また、電気系統がダメになるので、窓も開けられなくなります。そんな時はヘッドレストを外して、足になっている金属部分を窓とドアの隙間に差し込んでください。テコの原理でそれほど力を入れずに窓を割ることができます。でも、これはあくまでも最終手段です。冠水が予想される時は、決して車で避難してはいけません。
_(聞き手/程原ケン)

トッカグン(小野寺耕平、佐藤昌宏)
吉本興業所属。東京NSC12期生。「元自衛隊芸人」「サバイバル芸人」として活動中。2014年よりYouTubeチャンネル『トッカグンの東京サバイバル』を開設し、サバイバル術、アウトドア、その他、自衛隊関連の動画を配信している。

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