現地記者が言う。
「そこに加わったのが、クローンペットビジネスです。中国では昨年、バイオテクノロジー会社がクローン猫を誕生させることに成功した。飼い猫を亡くし、落ち込んでいた中国人は愛猫にそっくりなクローン猫の誕生に大喜びしました」
科学技術と夢を売り物にする中国らしい出来事だが、ノンフィクション作家の窪田順生氏は「ペットが死んでもクローンを作ればいいやという風潮につながりかねない」と警鐘を鳴らす。
クローンペットが出回れば、高額の血統書付きペットでも、クローンだと格安になることが予想される。
「その結果、年を取ったペットは大事にされないなどの弊害も生むと思いますよ。そして、そうした風潮はすぐに日本に伝播します」(同)
日本で少年犯罪が続いていたころ、学校で飼われているペットが標的にされた。
「日本でもしクローンペットを認めたら、命を傷つけても痛みが分からなくなり、命が玩具のように扱われるようになってしまう。それはやがて人間にも向けられる恐れがある。神戸で起きた『酒鬼薔薇聖斗事件』で犯人は、人間の生首を切り落とした。あの痛ましい事件を思い出してほしい」(同)
問題はこれだけではない。クローンペットを巡る動きは、いずれ闇ビジネスに発展する可能性がある。
「クローンペットを作成する技術を確立した中国企業は、当然、ビジネスを展開したい。先ほど言ったように、安いというのが売りです。見た目でクローンかどうかは分からないわけですから、密輸されたペットが日本国内でも氾濫して混乱するでしょう。飼い主にしてみれば、本物でもクローンでもかわいければいいという人もいるでしょうし、ペット市場は収拾がつかなくなるかもしれません」(同)
慎重に議論すべき問題だ。