革命防衛隊の中核は「コッズ部隊」(ペルシア語でエルサレムの意味)といわれ、イランの最高指導者ハメネイ師直属の部隊でもあることからエリート12万5000人の兵力を誇る。革命防衛隊などという時代錯誤の呼称もさることながら、ナチスドイツでいえば、ナチス武装親衛隊のような存在だ。
イランは米国への復讐を誓い、即座にイラクの米軍基地に報復攻撃を行ったが、米国側の軍事施設などに人的被害が出れば、トランプ大統領はただちに52カ所を爆撃し報復すると警告を発した。
「なぜ52カ所が標的なのかというと、米国が大きな屈辱を味わった1979年に起きたテヘランの米大使館人質事件で、拘束されていたアメリカ人が52名だったからです。しかも444日間、拘束され、当時のカーター大統領が立案した『砂漠の嵐作戦』というヘリコプター部隊による救出作戦は、砂嵐のために失敗しています。米国は二重の恥辱を味わい、その結果カーター氏の再選はならず、強いアメリカ復活を掲げたレーガンが、1980年の大統領選に地滑り的な大勝利を収めたのです。1月6日には、米ユタ州にある空軍基地から52機の『F35ライトニング』ジェット戦闘機が飛び立ち、訓練を行いました。52カ所の攻撃、52機のF35の軍事訓練は、米国の保守層の中核である福音派(イラン嫌い)の支持を喚起させる狙いがあるのです」(国際ジャーナリスト)
革命防衛隊は“軍閥化”しており、イランの利権を寡占しているから一般国民からは嫌われ、評判は悪い。
「スレイマニ司令官はイランから見て西側を担当し、イラク、シリア、レバノン、ガザ地区にイランの傭兵を送り込み、軍事訓練を施し資金と武器を供与してきました。代わったガアニ新司令官(副司令官から昇格)は、東側のパキスタンやアフガン担当です。従ってペトレイアス米陸軍大将(前CIA長官)がコメントしたように『スレイマニ殺害はビン・ラディンやバグダディ排除よりも重要な意味を持つ』のです」(同・ジャーナリスト)
とはいえソレイマニ殺害でイランを追い詰めることが、戦略的に妥当か否かは議論が分かれるところだろう。